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万博迫る関西空港で警備に隙…壁を乗り越え制限区域に侵入した男、車を盗んで滑走路近く走行

読売新聞 / 2025年2月3日 8時45分

 関西空港で1月、立ち入り禁止の制限区域に侵入したとして男が逮捕される事件があった。男が壁を乗り越えるのを警備員が目撃しながら侵入を防げず、鍵が付いたままの車を無断で運転されるなど、空港警備の隙を突かれた格好だ。大阪・関西万博の開幕が4月13日に迫る中、大阪府警は運営する関西エアポート(関西エア)に対し、警備態勢の点検と強化を要請。国土交通省は再発防止策を報告するよう求めた。(門間圭祐)

 府警関西空港署によると、1月9日午前5時30分頃、税関などが入った合同庁舎近くにある壁(高さ約1・8メートル)を無職男(27)が乗り越えるのを警備会社の警備員が見つけ、勤務先を通じて同署に通報があった。

 警備関係者によると、男はこの直前、庁舎前のゲートにいた警備員に「ここ入っていいですか」と声をかけ、止められたが、近くの植え込みにリュックを置き、壁を越えて通路を直進。庁舎と第1ターミナルを結ぶ連絡通路の屋根(高さ約3メートル)によじ登って制限区域に侵入した。防犯カメラには、同区域内を歩く様子が映っていたという。

 警備関係者は「不審な男の侵入を目撃しながら追跡できなかった。経緯を検証する必要がある」と話す。

 男はその後、航空機の駐機場近くに止まっていた軽貨物車に乗り込み、滑走路に通じるエリアを走行。車のドアは施錠されておらず、エンジンキーが付いたままだった。午前7時50分頃、車は約600メートル離れた制限区域の端付近で見つかったという。

 府警は、男が車を乗り捨てた後、フェンスを乗り越えて制限区域外に移動し、シャトルバスで第2ターミナルに向かったとみている。

滑走路一時閉鎖

 侵入から約3時間40分後の午前9時10分頃、第2ターミナル内で男が警察官に確保された。安全確保のため、2本の滑走路が一時閉鎖され、到着予定だった6便が大阪(伊丹)空港などへ向かったほか、1便が出発した空港へ引き返した。

 男は建造物侵入容疑で逮捕され、調べに「見知らぬ男から逃げるためだった」と供述した。1月29日には軽貨物車を盗んだとして窃盗容疑で再逮捕された。

 関空では、滑走路や誘導路などの制限区域の警備を関西エア側が実施しており、府警は通報を受けた場合に連携して対応している。

 今回の事件を受け、関空署や関西エア、警備会社などの担当者は情報共有会議を実施。府警は関西エアに警備に改善点がないか確認するよう求めた。

 関西エアは読売新聞の取材に一連の経緯について説明せず、「警備上の理由からコメントできない」としている。

 関空署幹部は「警察としても警備に問題がなかったかを検証し、関西エアポートに助言や指導を行っていく」と話す。

「信用低下の恐れ」

 関空では2022年以降、不審者の侵入事件が毎年発生。24年4月には、国際貨物を扱う保安区域にフェンスを乗り越えて侵入したとして、中国籍の男が建造物侵入容疑で逮捕された。

 国交省は航空法に基づき、各空港の管理者に対し、不審な人物や車両の侵入を想定した訓練を年1回以上、実施するよう求めている。同省は関西エアに再発防止策の報告を要請しており、担当者は「事実関係を調べ、適切な対策を検討してほしい」と語る。

 24年の関空の利用者は約3064万人。今年4~10月の大阪・関西万博の開催中は利用者が増える見込みだ。テロ対策に詳しい公益財団法人「公共政策調査会」(東京)の板橋功・研究センター長は「車が滑走路に入り込んで航空機の運航に危険が及ぶ恐れもあった」とし、「万博期間中に同様の問題が起きれば、空港警備の国際的な信用が低下しかねない。関西エアポートは危機感を持って対応する必要がある」と話している。

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