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セレブブームを作ったパリス・ヒルトンの暗黒だった思春期時代……新刊に読む不屈の精神

読売新聞 / 2025年2月3日 17時0分

カリスマキリンへの道

 ヒルトン姉妹と言えば、かつてあゆ(浜崎あゆみ)と並んでファッション誌をにぎわした時代が懐かしく思い出されます。ヒルトンホテル創業者の一族に連なる生まれつきのセレブで、美貌びぼうと型破りな行動が話題を呼びました。

 『PARIS』(太田出版)は、姉のパリス・ヒルトンさんが自らの半生を振り返った一冊です。パーティー続きの日々、自動車の交通違反騒動など、ファンにはおなじみのエピソードが続きます。

 その中に、思いがけない話がありました。パリスさんは思春期のころから変わった行動が多く、心配した両親により10代のとき、「全米初の情動発達寄宿学校」に入れられます。行動や情緒に問題を抱える子どもが特別な教育を受け、知的で芸術的に自己表現できるよう育てるという触れ込みです。

 しかし、山奥にあるその学校は、大人たちの肉体、精神的な暴力が横行し、「ラップ会」と称して子どもたちを互いに批判させるおぞましいものだったというのです。

 現在、自らのADHD(注意欠陥・多動性障害)を受け入れ、ともに生きようとしている彼女には、何と過酷な体験だったでしょう。しかも、この学校は外部へのPRがうまかった。大金を投じて通わせる親たちは、子どもが命がけで脱走しても批判を信じてくれません――。

 ここには学ぶべき教訓が、一つあります。親は子どもを愛するがゆえに、「教育」と称するゆがんだ施設や指導者にだまされる場合があること。もし、不審な状況に巻き込まれた場合は、大人より子どもの言い分に耳を傾ける必要があることです。この学校まで極端ではなくても、情報が多いようで孤独な現代の育児には、偏ったものに我が子を託してしまいそうになる場面がないでしょうか。

 幸い彼女は、偽りの学校に傷つけられても、家族を思う気持ちは揺るぎませんでした。家族の絆に底支えされ、やがてアメリカ西海岸を思わせる華やかさで、私たちを魅了することになりました。

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