年末年始の企業「DDoS攻撃」、異例の広範囲「絨毯爆撃型」…対策難しく「能動的防御」の必要性
読売新聞 / 2025年2月4日 5時0分
年末年始に国内の航空や金融機関などが狙われた一連のサイバー攻撃は、大量のデータを送りつける「DDoS(ディードス)攻撃」の中でも、企業内のサーバーやネットワーク機器を広範囲に攻撃する「
一連のDDoS攻撃が始まったのは昨年12月26日。日本航空では空港の手荷物預かりシステムなどに不具合が生じ、三菱UFJ銀行ではインターネットバンキングがログインしにくい状態になった。その後、りそな銀行、みずほ銀行、NTTドコモなどもシステム障害に見舞われた。
DDoS攻撃はまず、攻撃者が、世界各地にあるWi―Fi(ワイファイ)ルーターやウェブカメラといったIoT機器をコンピューターウイルスで乗っ取る。続いて指令サーバーからの指示を受け、乗っ取られたIoT機器が標的企業のシステムに大量のデータを送り付ける。攻撃を受けたシステムは過負荷で処理しきれなくなり、停止する。
通常のDDoS攻撃は、特定のサーバーやネットワーク機器を狙って行われるが、絨毯爆撃型は標的の機器が広範囲にわたるため、影響が大きく、業務全体が停止に追い込まれるリスクがある。
サイバーセキュリティー会社「トレンドマイクロ」(東京)が昨年12月27日から一連の攻撃を監視した結果、少なくとも世界各地の300超のIoT機器が乗っ取られ、海外のサーバーから指令が出されたとみられることが判明。攻撃は今月2日までに国内64事業者に対し延べ158回行われ、多くが絨毯爆撃型だという。
同社の担当者は「これまでも絨毯爆撃型の事例はあったが、ここまで大規模なのは異例だ」と話す。
被害を受けた複数の企業の関係者も読売新聞の取材に、今回の攻撃が絨毯爆撃型だったと説明。被害企業の多くはDDoS攻撃に備え、大量のデータが送られても特定のサーバーへの負荷を軽減する対策を取っていたが、未対策のサーバーなどが被害を受けた。
サイバーセキュリティーの関係者によると、一連の攻撃の犯行声明は確認されていないという。
NTTデータグループのセキュリティー専門家・新井悠氏は、「従来通りの対策では絨毯爆撃型を防ぐことは困難で、指令サーバーそのものを無力化する『能動的サイバー防御』で対処していくことが求められる」と指摘する。
◆能動的サイバー防御=インフラなどへの重大なサイバー攻撃を未然に防ぐ仕組み。監視・偵察などの情報収集を通じて攻撃の兆候を検知し、攻撃が本格化する前に相手に対抗手段を講じる。政府は導入に向け、関連法案を通常国会に提出する方針。英語のActive Cyber Defenseの頭文字からACDと略される。
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