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対日投資審査 技術流出を着実に防止せよ

読売新聞 / 2025年2月4日 5時0分

 安全保障にかかわる重要技術を巡って、国家間の競争が激化している。政府は、日本企業に対する海外からの投資の審査を強化し、技術流出を防ぐことが不可欠だ。

 日本企業への海外からの出資については現在、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、国が審査する仕組みになっている。国内技術の流出などで、国の安全が脅かされる事態を防ぐためだ。

 2020年施行の改正外為法では、安全保障面で重要な原子力やエネルギー、通信、金融などの上場企業の株式を1%以上取得する際には、事前の届け出を義務づけた。それまでの「10%以上」から引き下げて対策を強化した。

 同時に海外投資家の「日本株離れ」を起こさぬよう、経営に参加しない純投資であれば、事前届け出を免除する仕組みを設けた。

 だが、この規定が「抜け穴」になる問題が指摘されている。課題があれば、法律を不断に見直していかなければならない。

 実際に問題視されたのは、21年に中国IT大手テンセントの子会社が、携帯電話事業を展開する楽天に出資したケースである。

 テンセント側は、純投資だと主張したが、中国への個人情報の流出などが危惧された。

 このため、新たに外為法の政省令を今春にも改正する。外国政府に情報を渡す恐れがあると判断した企業や個人を「特定外国投資家」に分類し、例外なく事前の届け出を義務化するという。

 特定外国投資家としては、外国政府の法令などにより、情報開示などの協力義務を負う企業や個人などが想定されている。

 中国は国家情報法で、政府の情報収集に協力することを義務づけていることから、中国の企業を念頭に置いているとされる。

 人工知能(AI)やドローン、量子などの技術開発に、各国はしのぎを削っている。米欧と足並みをそろえ、技術流出の抑止策を講じていくことが大切だ。

 中国側は、別の国の法人を迂回うかいして出資することも考えられる。日本は審査体制を拡充して、そうした迂回投資の発見にも力を入れていく必要がある。

 今回の新規制は、上場していない中小企業は対象外となる。だが、中国企業が、優れた技術を持つ日本の中小企業に目をつけ、盛んに買収しているのではないかとの懸念が高まっている。

 国益を守る観点から官民が連携して、中小企業の技術を守るための方策も考えてもらいたい。

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