米国務長官ルビオ氏が異例の初外遊、「裏庭」中米・カリブ海5か国を歴訪…中国影響力に警戒感
読売新聞 / 2025年2月4日 7時59分
【パナマ市=大月美佳、ワシントン=淵上隆悠】米国のルビオ国務長官は、2日のパナマ訪問で、米国務長官としては異例の初外遊先となる中米・カリブ海の5か国歴訪をスタートさせた。トランプ米政権は、米国が「裏庭」としてきたこの地域で中国が影響力を高めていることに警戒感を強めており、外遊を通じて歯止めをかけたい考えだ。
けん制
パナマ運河の太平洋側の玄関口に位置するバルボア港。2日も、多数の荷物を積んだ大型のコンテナ船がゆっくりと通り過ぎていた。出口となる大西洋側のカリブ海にあるクリストバル港とともに管理しているのは香港系企業だ。
「香港企業が出入り口を管理しているのは受け入れられない。紛争時に中国政府が運河の閉鎖を命じれば、米海軍の艦隊がインド太平洋に迅速に到達できない」
ルビオ氏はパナマ訪問に先立つ米メディアとのインタビューで、運河の現状が米国の安全保障を脅かしていると主張した。2日に行われたパナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領との会談でも、こうした危機感を直接訴え、対応を求めた。
米国務長官が就任後の最初の訪問先に中南米を選ぶのは、1912年以来となる。「歴史的な訪問」(米国務省高官)となったのは、同地域に浸透を図る中国をけん制する意味合いが強い。実際、中国は巨大経済圏構想「一帯一路」を同地域でも推し進めており、中南米の参加国は22か国に上る。
ルビオ氏が今回訪問する5か国は、台湾承認国のグアテマラを除けば、いずれも中国の「一帯一路」に参加している国々だ。
「逆効果」恐れ
ムリノ氏はルビオ氏との会談で、運河を管理する香港系企業への監査を開始したと伝えた。中国と結んだ「一帯一路」の協力に関する覚書について期限切れとなる2026年に更新しないだけでなく、前倒しの終了を検討する考えも示した。
武力行使の可能性まで示唆していたトランプ米大統領の圧力が効いたとみられ、トランプ氏は会談の終了後、「我々は運河を奪い返す」と記者団に改めて強調した。
一方で、こうした米国の強硬姿勢に対しては、左派政権を中心に中南米各国で警戒感も広がる。米国はかつて、欧米両大陸の相互不干渉を唱える「モンロー主義」の下、勢力圏とみる中南米各国には軍事介入を繰り返した。1989年にはパナマに侵攻し、同国を独裁的に統治していたマヌエル・ノリエガ将軍(当時)を失脚させた。
ブラジルのジェトゥリオ・バルガス財団のオリバー・ストゥンケル教授(国際関係論)は、トランプ政権の中南米政策について「中国の勢力拡大を食い止めるとの主張で、自らの拡張主義を正当化している。露骨な脅しで影響力を行使する手法は、この地域での中国
傾斜に拍車をかけかねない」と述べ、「逆効果」となる可能性を指摘している。
一帯一路とは…中国インフラ支援し影響力
Q 中国の巨大経済圏構想「一帯一路」とは。
A
Q 参加国の数は。
A 中国外務省によると、24年12月時点で約150か国が覚書に署名し、参加国となっている。
Q 支援の内容は。
A インドネシアで23年10月に高速鉄道が開通したほか、南米ペルーでは24年11月、南米とアジアを直接結ぶ地域のハブ港が開港した。スリランカやパキスタンなどでは港湾整備が行われており、中国による対外展開の拠点として利用される可能性があるとして、米欧が強く警戒している。
Q 課題は。
A 大型インフラ投資によって投資対象国を借金漬けとし、中国が権益を取り上げる「債務の
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