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パナマの「一帯一路」離脱、中国には痛手…パナマ運河が米中対立の新たな火種に

読売新聞 / 2025年2月4日 8時15分

中南米の「一帯一路」参加国

 【北京=吉永亜希子】中国は近年、中南米各国との関係強化に力を入れており、とりわけ太平洋と大西洋をつなぐパナマ運河を有するパナマを、地政学的な観点から重視してきた。それだけに今回、パナマが巨大経済圏構想「一帯一路」から離脱する方針を表明したことは、中国にとって痛手となりそうだ。

 中国の習近平シージンピン政権は、更なる経済支援でつなぎとめを図る可能性がある。

 習政権は2016年以降、敵視する台湾・民進党政権を国際的に孤立させる「断交ドミノ」を仕掛けており、中南米地域では、17年のパナマを手始めに、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ニカラグア、ホンジュラスが相次いで台湾と断交し、中国と国交を樹立した。

 中国共産党機関紙・人民日報によると、パナマでは習氏が18年12月に初訪問して以降、「一帯一路」の支援プロジェクトの一環として、大型会議場や大型客船のターミナルの整備などが進められてきた。

 米国に次いでパナマ運河の世界第2位の利用国である中国は、運河の再管理を主張するトランプ米大統領に対し、「いかなる大国の直接、間接的な規制も受けるべきではない」(中国外務省報道官)などとけん制している。

 パナマ運河が米中対立の新たな火種となる可能性が高まっている。

一帯一路とは…中国インフラ支援し影響力

Q 中国の巨大経済圏構想「一帯一路」とは。

 A 習近平シージンピン国家主席が2013年、古代シルクロードに着想を得て提唱した。中国から欧州までを陸路で結ぶ「シルクロード経済ベルト(一帯)」と、南シナ海やインド洋などをつなぐ「21世紀海上シルクロード(一路)」で構成される。現在は南米、アフリカなどにも拡大しており、各国のインフラ(社会基盤)整備を支援し、影響力拡大を図っている。

Q 参加国の数は。

 A 中国外務省によると、24年12月時点で約150か国が覚書に署名し、参加国となっている。

Q 支援の内容は。

 A インドネシアで23年10月に高速鉄道が開通したほか、南米ペルーでは24年11月、南米とアジアを直接結ぶ地域のハブ港が開港した。スリランカやパキスタンなどでは港湾整備が行われており、中国による対外展開の拠点として利用される可能性があるとして、米欧が強く警戒している。

Q 課題は。

 A 大型インフラ投資によって投資対象国を借金漬けとし、中国が権益を取り上げる「債務のわな」に陥らせているとして米欧が批判を強めており、途上国などに懸念が広がりつつある。先進7か国(G7)で唯一参加していたイタリアも離脱した。

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