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富山の路面電車「万葉線」は地域のシンボル…「地元愛」が廃線危機を救った

読売新聞 / 2025年2月7日 9時29分

【撮影データ】片原町停留場付近(富山県高岡市)▽撮影日時・2025年1月22日午前7時5分▽レンズ・100―400ミリズーム▽ISO感度2500▽シャッター速度640分の1▽絞りF5

 今回の鉄フォトは富山県高岡市の高岡駅と射水市の越ノ潟を結ぶ12.9キロの万葉線です。

 いにしえの香り漂う路線名は、万葉集の代表的歌人である大伴家持が746年から約5年間、国守として高岡市の越中国府に在任し、多くの作品を残したことに由来します。高岡駅から射水市の六渡寺までの8キロは軌道線で、そこから越ノ潟までは鉄道線に変わります。一部は複線ですが大部分が単線の素朴な路線です。

 元は高岡と伏木港の間で1948年に運行開始した富山地方鉄道の一路線でしたが、延伸や加越能鉄道への移管、一部区間の廃止など紆余(うよ)曲折を経て、71年に現在の路線となりました。その後もマイカーの普及などで経営は悪化し、赤字を穴埋めする国の欠損補助制度が終了となった97年度には、廃線・バス転換が現実味を帯びました。

 しかし、行政や地域住民が利用促進イベントや勉強会など熱心な存続運動を繰り広げ、2002年に路面電車としては珍しい第3セクター方式の「万葉線株式会社」として生まれ変わりました。この際、住民や地元経済界から1億円超の寄付金が集まったといい、20年以上たった今も、両市にとって重要な公共交通機関であり、地域のシンボルであり続けています。

 営業車両はレトロ感漂うデ7070形とスマートな低床車MLRV1000型の計11両。高岡市出身の漫画家藤子・F・不二雄さんにちなんだ「ドラえもんトラム」が人気です。路面電車の路線では珍しい除雪用ディーゼル機関車も在籍しています。

 今回の撮影場所は同市中心部の片原町停留場付近。道の両側は雪国らしいアーケード付きの商店街です。早朝の大通りですれ違う電車が、2両とも一瞬ななめ横を向く様子がちょっとユーモラスです。

 廃線の危機を地元の愛で切り抜けた万葉線。今日も高岡の地をゆっくりと走ります。(東京写真部 佐藤俊和)

 ※鉄道写真撮影の際のお願いです。マナーを守って安全に撮影しましょう。

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