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米通商政策 世界を翻弄するトランプ関税

読売新聞 / 2025年2月5日 5時0分

 カナダとメキシコへの高関税を1か月間延期する一方、中国には予定通り発動した。トランプ米大統領の高関税政策が世界を翻弄ほんろうしている。

 貿易戦争が本格化しないよう、各国は、トランプ氏の真意や出方について、よく見極めながら対処していくことが重要だ。

 トランプ氏は1日、カナダとメキシコからの輸入品に原則25%の関税、中国には10%の追加関税をかける大統領令に署名した。

 4日から実施予定だったが、土壇場の3日になって急変する。

 トランプ氏は、カナダのトルドー首相とメキシコのシェインバウム大統領とそれぞれ電話で会談し、国境警備の強化などと引き換えにして、発動を1か月間延期することで合意したという。

 トランプ氏が、高関税を突きつけたのは、中国で原料が製造されている合成麻薬「フェンタニル」と不法移民が米国内に流入することを阻止するためだとされる。

 カナダとメキシコに対する高関税を延期したのに、中国に対してだけ予定通り発動したのは、理解が難しい動きである。

 トランプ氏は3日、「24時間以内に中国とも話すつもりだ」と述べている。駆け引きが続いている可能性もあるのだろう。

 中国は、対抗措置として、10日から米国の石炭や液化天然ガス(LNG)に15%、原油や農業用機械などに10%の追加関税を課す方針を発表した。

 貿易戦争が誰の得にもならないことは自明の理である。トランプ氏は、世界の株式市場を動揺させるような行動をやめるべきだ。

 トランプ氏は選挙公約で、貿易赤字を問題視し、国内製造業を復活させるために高関税を行使すると訴えてきた。不法移民に対する強硬な姿勢も見せてきた。

 目に見える成果を早期に上げて支持層にアピールするため、取引(ディール)の手段として高関税を使おうというのだろう。

 だが、高関税は、カナダやメキシコに生産拠点を置く米製造業のコスト負担を増やし、国民の不満が強い物価高も助長する米国への弊害が改めて指摘された。

 高関税の延期は、トランプ氏が突然、方針を修正したように見える。初めから譲歩を引き出すための戦術だったのか。それとも株式市場の動揺などに慌てたのか。その予測不可能な行動には、警戒感を強めざるを得ない。

 各国は、トランプ氏が高関税政策を翻意するよう、粘り強く働きかけていく必要がある。

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