トランプ氏の「ガザ所有」にアラブ諸国反発…ヨルダンは移住受け入れを拒否
読売新聞 / 2025年2月5日 18時37分
【ワシントン=池田慶太】米国のトランプ大統領は4日、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘で荒廃したパレスチナ自治区ガザを米国が「長期的に所有」し、再建させる意向を表明した。ガザの全住民を域外に移住させ、経済開発を進める構想も打ち出した。米国のガザに対する立場を根本から覆すもので、トランプ氏の一方的な計画は波紋を広げている。
トランプ氏は、ホワイトハウスでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談後、共同記者会見に臨み、「米国はガザを引き継ぐ。ガザを所有し、責任を持ってそこにある危険な不発弾や兵器を取り除く」と述べた。トランプ氏はガザを「可能性を秘めた土地」と表現し、「我々はガザで雇用と住居を無制限に供給する経済開発を行う」との考えを示した。米政府高官はガザの再建に10~15年かかるとみている。
トランプ氏は、ハマスによるガザ統治を念頭に「歴史を繰り返すことはできない」と述べ、米国が管理する意義を強調した。「米国が長期的に所有することが中東全体に大きな安定をもたらす」とも主張した。治安維持のため、米軍を派遣する可能性を問われたトランプ氏は「必要なことは行う」と否定しなかった。
トランプ氏はガザについて「何十年にもわたって死と破壊の象徴だった」と語り、住民全員が域外への再定住を希望していると一方的に主張した。「彼らは地獄のような暮らしをしてきた。ガザは人が住む場所ではない。彼らが戻りたい唯一の理由は他に選択肢がないからだ」と指摘した。
中東地域の豊かな国々が移住費用を負担すべきだと訴え、移住先については「複数の場所になるかもしれないし、一つの大きな場所になるかもしれない」と述べた。
トランプ氏はヨルダンやエジプトが住民受け入れで協力するとの見解を改めて示したが、ヨルダンなどは拒否する考えを明らかにしており、ハマスも反発している。トランプ氏の提案にネタニヤフ氏は「中東を再形成し、平和をもたらすような考え方だ」と賛意を示した。
イスラエルとパレスチナが共存する「2国家解決」を否定するのかという記者団の質問に対し、トランプ氏は「1国家でも2国家でもなく、人々に生きる機会を与えたいだけだ」と述べるにとどめた。
「パレスチナ国家樹立なければイスラエルと正常化なし」…サウジアラビア外務省
【カイロ=田尾茂樹】米国のトランプ大統領のガザ所有構想に対するアラブ諸国の反発も必至だ。
サウジアラビア外務省は5日の声明で、トランプ氏の構想を念頭に「パレスチナ人をその土地から追放する試みを含め、パレスチナ人の正当な権利に対するいかなる侵害も明確に拒否する」と訴えた。トランプ氏が強い期待感を示すイスラエルとの国交正常化についても「パレスチナ国家樹立がなければ、実現しない」と改めて強調した。
トランプ氏の提案に先立ち、エジプトのシシ大統領とヨルダンのアブドラ国王は4日の電話会談で「アラブ諸国が統一した立場をとる必要性」を確認した。
ガザ住民の移住先として協力を求められている両国やサウジ、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールなどは1日の外相級会議後に発表した共同声明でパレスチナ人の「強制移住の拒否」を表明している。
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