ガザの戦後管理 混乱招く「米国が所有」発言
読売新聞 / 2025年2月6日 5時0分
米国がパレスチナ自治区ガザの戦後管理や再建を担うという考えは注目に値するが、そのために米国がガザを「所有」するという構想はあまりにとっぴで衝撃的だ。
トランプ米大統領の発言が国際社会の反発を招き、せっかく実現にこぎつけた停戦に水を差す事態を懸念する。
トランプ氏が、ワシントンを訪れたイスラエルのネタニヤフ首相と会談した。その後の共同記者会見で、トランプ氏は「米国がガザを長期的に所有する」と述べ、ガザを管理し、復興や経済発展に取り組む意向を表明した。
イスラエル軍の攻撃などで倒壊した建物や不発弾を撤去して整地し、住宅やインフラ(社会基盤)を再建する考えを示した。必要であれば米軍を派遣する可能性も否定しなかった。
だが、そのためにガザにいる200万人以上の住民について、ヨルダンやエジプトなどへ移送し、恒久的に定住させると述べた。
これは、国際法に違反する非人道的な提案と言わざるを得ない。例えば戦時の文民保護を規定するジュネーブ条約は、住民の強制移送を禁じている。米国も締約国として、条約尊重の義務がある。
トランプ氏の提案に対し、イスラム主義組織ハマス幹部は「ガザ住民は決して受け入れないだろう」と反発した。ヨルダンやエジプトなどはガザ住民の受け入れを拒否している。
復興のために住民の一時的な避難がどうしても必要だというのであれば、まずは米国が率先して受け入れるべきではないか。
そもそもガザがパレスチナ人の自治区であることは、イスラエルも認めている。トランプ氏が、異なる宗教や民族が入り組んだ複雑な土地柄と、対立を続けてきた歴史的な経緯をどこまで理解しているのか、甚だ疑問である。
ガザではイスラエルとハマスの戦闘が、米国などの仲介で1月にいったん停止した。
3段階で恒久停戦を実現するとしている。第1段階の6週間のうちにハマスがイスラエルから連れ去った人質のうち33人を解放し、イスラエルは収監するパレスチナ人約1000人を釈放する。
今のところ順調に進んでいるが、これからは、ハマスが人質全員を解放する一方、イスラエル軍がガザから全面撤退するとした第2段階に進めるかどうかの難しい局面にさしかかる。
全当事者が冷静さを保ち、停戦合意を維持することが必要だ。
この記事に関連するニュース
-
トランプ氏「米国がガザを長期所有」…「中東のリビエラと呼ばれる場所になる可能性」
読売新聞 / 2025年2月5日 23時0分
-
ガザ「長期保有」、住民移住も=トランプ氏が戦後計画で新提案―反発必至、国際法違反の恐れ
時事通信 / 2025年2月5日 18時14分
-
トランプ氏、アメリカが「ガザを所有」「土地を平らにして経済発展を作り出す」
読売新聞 / 2025年2月5日 11時37分
-
トランプ氏、ガザ住民受け入れへ圧力 エジプトとヨルダンは「やることになる」
産経ニュース / 2025年1月31日 9時49分
-
ガザ停戦で合意、イスラエルとハマスまず6週間休止 19日発効
ロイター / 2025年1月16日 8時55分
ランキング
-
1【速報】切断遺体の遺棄事件 容疑者とみられる男 死亡後に被害者のキャッシュカードで“ATMから金引き出す様子”防犯カメラに映る 大阪・東大阪市の山中
MBSニュース / 2025年2月6日 0時2分
-
2八潮道路陥没でトラック運転席発見か…2本目のスロープ近くに農業用水路露出、撤去へ
読売新聞 / 2025年2月5日 23時47分
-
3逮捕の中国籍元外交官、日本の政財界との関係示唆 公安部は資金の流れ解明進める
産経ニュース / 2025年2月5日 20時44分
-
4万博入場券、フリマで転売相次ぐ 協会は購入しないよう呼び掛け
毎日新聞 / 2025年2月5日 20時37分
-
5ダイタク・吉本大さんと9番街レトロ・なかむら★しゅんさんがオンラインカジノで賭博の疑い 警視庁が事情聴取
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年2月5日 20時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください