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[棋聖戦コラム]国際色豊かな環境で育った牛栄子四段、「囲碁の原風景」は昭和の最強棋士・呉清源九段

読売新聞 / 2025年2月6日 12時59分

牛栄子四段。棋聖戦第3局では、解説の聞き手を務める

 一力遼棋聖(27)に井山裕太王座(35)が挑む第49期棋聖戦七番勝負の第3局が、5日から仙台市で打たれている。ここまで両者が1勝1敗で並んでおり、本局は今後のシリーズを左右する重要対局となる。6日に同市内で行われる大盤解説会では、女流棋戦のトップ戦線で活躍している(にゅう)栄子四段(25)が解説の聞き手を務める。「指導碁を受けに来てくれる人や大盤解説会を真剣な表情で聞いてくれる多くの方の姿を見る度に、うれしくなるんです」

2022年に初タイトル、昨年は女流本因坊戦で惜敗

 牛四段は2022年、第7回扇興杯女流最強戦で当時13歳の仲邑菫(なかむらすみれ)三段(韓国棋院では四段)を下して初タイトルを獲得。翌年も同棋戦で優勝し、連覇を果たした。そんな実力者だが、「見た目以上にポジティブで、誰とでも楽しく話せるんです」。そう自身について語る牛四段は、屈託のない笑みを絶やさない。

 昨年は第43期女流本因坊戦五番勝負で、藤沢里菜女流本因坊(26)に挑戦した。五番勝負開幕前の時点で、藤沢女流本因坊との対戦成績は1勝9敗。第1、2局に連敗し、「どうやっても勝てないのかな……」と下を向きそうになった。そこから巻き返し、第3、4局に連勝。2勝2敗のフルセットに追いついたが、最後は力及ばずに敗退した。「何かが変わったのだと思うけれど、言葉にうまくできない。でも、これまでにない自信がついた」

母は中国囲碁棋士で父は中国「象棋」棋士、師匠はレドモンド九段

 1999年、千葉市生まれ。母親は中国の囲碁棋士・牛力力(にゅうりーりー)さん(63)、父親は中国将棋「象棋」の棋士・趙国栄(ちょうこくえい)さん(63)。師匠は米国出身のマイケル・レドモンド九段(61)で、義理の叔父にあたる。多様な環境の中で力をつけて、2015年に入段した。

 プロ入りを意識し始めたのは小学3年の頃。千葉県代表として全国大会に初出場したことがきっかけだった。しかし、アマチュアの大会に出るのが楽しみで、出場資格を失う院生にはならなかった。一方、多くのプロの元を訪れて教えを受けたほか、母の薦めで中国の道場にも通った。

 牛四段にとって囲碁の原風景は、昭和最強の囲碁棋士と称される呉清源九段(1914~2014年)の姿だ。母親の牛力力さんは、呉九段の秘書を長年務めており、4、5歳の牛四段も時折、母に付いて呉九段の自宅を訪れた。既に90歳前後だったが、書斎で盤面に向き合って深く集中する呉九段の姿が、目に焼き付いている。「囲碁に情熱を傾ける棋士の姿が好き。その一員に、私もなりたい」。尊敬する呉九段の姿を胸に、純粋に囲碁と向き合っている。(文化部 江口武志)

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