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浜名湖のアサリ漁獲、2009年6千トンが昨年は180キロに激減「漁師は生活できない」…養殖研究進む

読売新聞 / 2025年2月7日 9時11分

3色の光を当て、アサリのエサになるプランクトンを増やす研究を進めた松永さん(浜松市中央区で)

 浜名湖を代表する水産資源・アサリの漁獲量が昨年、180キロと激減し、過去最低を更新したことが浜名漁業協同組合(浜松市中央区)のまとめでわかった。昨夏の長雨の影響やクロダイの食害が原因と指摘されている。2009年に6000トンあった漁獲量が減少する中、人工養殖の研究も進んでいる。(松本貴裕)

 「180キロは漁獲高にすると約11万円。漁師はとても生活できない」。浜名漁協の渥美敏組合長(71)はそう肩を落とした。

 浜名湖のアサリ漁獲量は09年に6008トン、漁獲高は21億円あったが、徐々に減り続けた。21年は100トンと当時の過去最低を記録し、漁獲高は約4000万円にとどまった。不漁に伴い、かつて500人を超えていたアサリ漁師は21年に450人、昨年は341人と減り続けている。

 観光名物だった弁天島の観光潮干狩りも19年から中止が続き、再開のめどが立たない。「昔は湖岸の砂地を掘ればどこにでもアサリが見つけられたが、昨年はほとんど見なくなった」。渥美組合長はそう話す。

 アサリがいる環境を取り戻そうと、浜松市の光電子部品メーカー「浜松ホトニクス」などは5年ほど前から資源回復の取り組みを進めている。昨年12月には人工産卵から養殖したアサリ3キロの収穫に成功した。

 かつては台風などで一時的に生息環境が悪くなっても、岩場などに生息している稚貝が砂地に広がり、資源回復に役立ってきた。ところが近年では漁獲量が戻らず、研究を主導する同社の松永茂さん(61)は「産卵する親貝を養殖するしかない」と考えた。

 まずエサになる植物プランクトン「パブロバ」を培養する研究を開始。パブロバは栄養価が高いが、光合成に必要な赤と青の2色を当てても数日で増殖が止まり、安定的に増やすのは難しかった。松永さんは黄色の光を加えると増殖が続くことを突き止め、アサリの人工種苗の道を開いた。

 地元のアサリ漁師21人の協力を得て、23年11月から稚貝を直径20センチほどの容器に入れ、カキ養殖用の「カキ棚」から水中につるす「垂下養殖」をスタート。昨年7月には大きくなったアサリを湖底の砂地にまいて食害防止の網で覆い、12月まで1・5センチ~3センチに育てた。

 収穫したものを酒蒸しにすると、漁師の一人から「春の浜名湖で取れたアサリの味」と喜ばれたという。松永さんは「浜名湖のアサリは春に旬を迎える。プロの漁師が言ってくれたのはうれしかった」と振り返る。今後は養殖の規模拡大を検討していく。

 研究に協力している渥美組合長も「適切な管理をすれば増やせる可能性はある。まだあきらめるのは早い」と話している。

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