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大相撲の懸賞、広告効果も期待され盛り上がる…のし袋にお金を詰めるなど一連の作業2時間超も

読売新聞 / 2025年2月8日 5時0分

 白星をつかんだ力士が手刀を切り、誇らしげに懸賞金の束を手にする場面は、大相撲の見所の一つ。最近は本数が増え、先月の初場所は過去最高を記録した。企業や商品の名前をあしらった様々な懸賞旗が土俵を巡り、盛り上げに一役買っている。

力士の取り分 1本あたり6万円

 江戸から明治の時代にかけて、ひいき力士が勝った際に見物客が土俵に羽織などを投げ入れ、引き換えに力士が祝儀を受け取ることを「投げ纏頭はな」と呼んだ。相撲博物館学芸員の土屋喜敬さんによると、この慣習が明治時代末期に禁止された後、取組に懸賞をかけることが盛んになり、「明治末から大正ぐらいに本格化したのではないか」という。

 かつては銀杯などが贈られたが、戦後の物不足の際には生活物資などが贈られた。その後賞金を与える例が増え、1960年に商品は廃止され、賞金に統一された。

 懸賞がかけられるのは、現在は中入り後の幕内の取組のみ。十両以下の取組にはかけられないが、幕内と十両が対戦する場合はかけられる。

 以前は十両同士の取組にもかけられた。70年秋場所6日目の輪島(後の横綱)―長浜(後の小結豊山)戦は、学生相撲出身同士の対決で注目を集め、十両では異例の懸賞がかけられた。土つかず同士によるこの一番は輪島が制し、長浜の連勝を止めた。

 現在、賞金は1本あたり7万円(税込み)。事務手数料1万円を差し引いた6万円が力士の収入となるが、土俵上では1本につき3万円が入ったのし袋を行司が手渡している。

 懸賞旗を持って土俵を1周するのは呼び出しの役目。その仕事は早朝から始まる。担当の呼び出しが、取組表に書かれた懸賞を見ながら懸賞旗をまとめる作業を行っている。多ければ1日に約200本を超える懸賞を取組ごとに管理するのも呼び出しの技量の一つだ。

商品や企業名 15字以内で宣伝

 懸賞旗は大きさが決まっていて、縦1メートル20、横70センチの旗をあらかじめ提供者が作成する。取組表に記載される商品名や企業名などのキャッチフレーズは15字以内と決まっており、決められた文字数でうまくまとめなければいけない。キャッチフレーズは館内放送で行司が読み上げる。

本数 過去最高

 懸賞の本数は年々増加している。2014年は1年間の懸賞本数が7266本だったが、10年後の24年の合計は1万1578本に達した。両国国技館で開催された同年9月の秋場所は2455本で史上最多だったが、今年の初場所は2815本と最高記録を更新した。

 初場所初日の懸賞は244本にのぼり、千秋楽は1日あたりの本数で過去最多の256本の懸賞がかけられた。日本相撲協会の担当者がのし袋にお金を詰めるなど一連の作業が2時間を超える日もあったという。

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