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ミャンマー情勢 選挙で軍統治は正当化できぬ

読売新聞 / 2025年2月8日 5時0分

 ミャンマーでは内戦が激化し、人道危機の深刻化が止まらない。こんな状況で総選挙を強行しても、民政復帰にはつながらないのではないか。

 アウン・サン・スー・チー氏が率いていた民主派政権を軍がクーデターで倒してから、4年が経過した。

 軍トップのミン・アウン・フライン最高司令官は、軍が全権を掌握する体制を継続するため、非常事態宣言を延長した。民政への移行を目指して年内に総選挙を実施する、と説明している。

 だが、スー・チー氏は実刑判決を受けて拘束されており、スー・チー氏が率いていた民主派政党も政党資格を奪われた。軍は民主派政党を排除して総選挙を行い、親軍政党を勝利させ、実権を握り続けようとしているのだろう。

 軍による統治を正当化するために選挙を利用しようとしているとの批判は免れない。

 軍は昨年、有権者名簿作成のための国勢調査を行ったが、少数民族や民主派勢力が各地で武装闘争を続けていることなどから、多くの地域で調査できなかった。

 加えて、クーデター後の軍や警察の弾圧で市民ら6200人以上が死亡し、350万人以上が避難生活を強いられている。軍は現在の人口は約5132万人と発表したが、約4割分が推計だ。

 ずさんな調査に基づいて形ばかりの総選挙を行っても、国内外の信頼は得られるはずがない。

 軍が総選挙の実施には「平和と安定」が必要だと言いながら、反軍勢力に対して空爆を繰り返しているのは問題だ。

 反軍勢力は、北東部や西部で軍の現地司令部を陥落させるなど、攻勢を強めている。これに対し、軍は、住宅や学校、病院などを無差別に空爆している。

 岩屋外相が1日、「空爆などの暴力で多くの市民が日々死傷している」として、軍を強く非難する談話を出したのは当然だ。米国や英国、オーストラリアなども同様の共同声明を発表した。

 日本はスー・チー氏らの解放を求め、全ての当事者による対話の実現に協力するとしている。必要な支援をいかに現地に届けるかも課題だ。国連や多国間協議の場で議論を主導せねばならない。

 中国は総選挙実施を支援する姿勢を示し、軍への支持を強めている。ミャンマーからの天然ガスのパイプラインなど経済権益を守ろうとしているのだろうが、まずは軍による暴力を止めることに影響力を行使すべきであろう。

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