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「どうせ俺なんて」「別にいいし」に悩んだ教諭、児童の「きらめき」4コマ漫画に…最優秀賞受賞

読売新聞 / 2025年2月8日 16時48分

「4コマ漫画にしたら、みんなが読んでくれるようになった」と話す永田さん(西宮市で)

 学校で子どもたちの素晴らしい言葉や行動「きらめき言動」を集め、4コマ漫画などで伝える取り組みをした兵庫県の元芦屋市立打出浜小学校教諭の永田守さん(57)が、優れた教育活動を表彰する「学事出版教育文化賞」の最優秀賞を受賞した。永田さんは「学校現場には、輝くところがいっぱいあると伝えたい」と話している。(加藤あかね)

 永田さんは2011年4月、打出浜小学校に着任。自己肯定感が低いためか、「どうせ俺なんて」「べつにいいし」などと話す児童がおり、どうすれば子どもたちの良さを引き出し、自尊心を育めるのか、悩んだ。

 転機は、道徳の研修で来校した講師の言葉。「目の前の子どもたちの『きらめき言動』をたくさん見つけることから始めませんか」。これだ、と思った。

 同僚の教諭らに呼びかけ、学校現場で見聞きした、子どもたちの小さいけれど、素晴らしい言葉や行動を見つけ始めた。「少しずつ宿題を出せるようになった」「大げんかした翌朝、謝って仲直りできた」――。1年間で50個ほど「すごい」と思うことが集まった。教室で児童らに披露したり、4コマ漫画で紹介したりして、発信した。

 校内の教職員向けに「きらめき言動」集を4巻刊行。同僚らからは「子どもの悪い面ばかり目立って見えていた」と反省の声が出た一方で、表情は明るくなった。児童会の子どもたちは、自らきらめき言動を集めるポストを設置。内容を全校放送で紹介するようになった。

 取り組みについて、教育書を出版する学事出版(東京)が創設した賞に論文を応募すると、最優秀賞にあたる第22回教育文化賞に選ばれた。1月に東京都内であった表彰式では、「取り組みを通じて教員が、子どもの良い面に目を向けるようになったことも大きな効果」と講評された。

 永田さんは、阪神大震災で児童が犠牲になった芦屋市立精道小や打出浜小で震災の教訓も伝えてきた。昨春、家族の介護などを理由に退職したが、東日本大震災の被災地に足を運び、学校現場の研修会で、講演を続けている。

 永田さんは「きらめき言動を見つけ、発信することで、子どもたちが安心して学びあえる学校になった。これからも若い教師たちを応援していきたい」と話す。

 論文は「月刊高校教育」2025年4月号(3月13日発売)に掲載される。

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