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高額療養費の「自己負担の上限引き上げ」見直しへ…政府・与党、がん患者らに反発広がり

読売新聞 / 2025年2月8日 5時0分

 政府・与党は、医療費が高額になった場合に患者の負担を抑える「高額療養費制度」を巡り、今夏から自己負担の上限を引き上げる方針を見直す方向で調整に入った。与野党やがん患者らに反発が広がっているためだ。長期の治療が必要な患者への負担緩和策を軸に検討を進めている。

 福岡厚生労働相は7日の記者会見で「患者の声と制度の堅持という両方の課題を満たす解を目指す」と述べ、10日以降に患者団体と面会する考えを表明した。

 同制度は窓口負担が上限額を超えた場合に差額を健康保険組合などが給付する仕組みで、医療の高度化に伴い、給付額が膨張している。政府は現役世代の負担軽減や少子化対策の財源確保に向け、自己負担の上限引き上げ方針を決めていた。

 具体的には、年収ごとに区分されている上限額を2025年8月から27年8月にかけて引き上げる。上限の基準額は年収約650万~約770万円の場合、現在の月約8万円から約13万8000円に増える。

 これに対し、自民、公明両党の幹事長は今月4日に上限引き上げの見直しで合意。石破首相も再検討する意向を示している。立憲民主党は「難病患者の負担が増える」(重徳政調会長)などとして、上限引き上げの凍結を主張する。

 患者団体も修正などを求めている。全国がん患者団体連合会(全がん連)の天野慎介理事長ら患者団体の代表者は7日、厚労省を訪れ、高額な治療を長期に続ける患者への配慮や、見直しを検討する場に当事者が参画することを要望した。

 全がん連の1月の緊急アンケートでは、「上限8万円ほどで乳がん治療を行っているが、生活はカツカツ」(20代女性)などの声が寄せられた。天野氏も自身のSNSで「高額療養費制度は重要なセーフティーネットだ」と強調している。

 同省はこうした指摘を踏まえ、直近の12か月に3回、負担上限額を超えた場合、4回目から上限額を引き下げる「多数回該当」と呼ばれる仕組みを手厚くし、4回目以降の引き下げ幅を拡大する案などを検討している。

 現在の政府方針では、年収約650万~約770万円の場合、4回目以降の上限額は約4万4000円から約7万6000円に増える。この上昇分の負担を緩和し、長期の治療が必要な患者に配慮する考えだ。

 与党が衆院で過半数割れする中、同省幹部は「野党が予算案の修正を求めており、今の政府方針は見直さざるを得ない」と語った。

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