「買収は望まないが投資は大好き」…USスチール買収巡り態度軟化のトランプ氏、真意は不透明
読売新聞 / 2025年2月8日 23時49分
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画に強硬に反対してきたトランプ米大統領が、一転して態度を軟化させた。石破首相が対米投資の増額を約束したことが奏功したとみられ、日本に対する関税措置もひとまず回避。双方は米国産液化天然ガス(LNG)の輸入拡大でも一致し、トランプ氏がこだわる貿易赤字の解消に努める方針だ。
「私は買収は望んでいないが、投資は大好きだ」
トランプ氏は首脳会談後の共同記者会見で語った。石破首相も、計画が双方に利益になる「投資」という認識を共有できたと強調した。
日本製鉄は8日、会談結果に「ノーコメント」と回答した。日鉄幹部は「現在の(買収)計画が変わるわけではないが、米国への投資だと米政府に理解してもらえたのではないか」と話す。ただトランプ氏の発言は不透明な部分もあり、真意を測りかねているのが実情だ。
トランプ氏は「日鉄のトップと来週会う予定だ。彼らが詳細を詰める」と述べた。USスチールとの協議の仲介役を買って出る意向も示した。「投資」の具体化へ新たな連携を模索する可能性もあるが、着地点は見えない。
一方、トランプ氏は日本との貿易赤字解消に強い意欲をみせ、解消しない場合は関税も選択肢と示唆。赤字削減策の一つが米国産LNGの輸入拡大だ。トランプ氏は「日本が近く記録的な量のLNG輸入を始める」と強調した。
輸入拡大は日本にとっても渡りに船と言える。ロシアによるウクライナ侵略に伴うエネルギー価格の高騰で、日本のLNG調達は危ぶまれた。日本は現状、電力の7割を火力発電に頼っており、エネルギー安保上の意義は大きい。
日本はLNG輸入の約4割を豪州に依存しており、米国産は1割にとどまる。米国産LNGを安定して輸入できれば、電気・ガス代の抑制にもつながる可能性がある。首相は「安定的にリーズナブルな価格でエネルギーが提供されるのは大きな国益だ」と述べた。
ただ、首脳会談で話題となったアラスカ州での採掘は開発費用が高く、高値での購入を迫られる可能性もある。経済産業省幹部は「輸入拡大が実現するかは、あくまで『お値段』次第だ」と指摘する。
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