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数珠も「ジェンダーレス」、若い世代も手に取りやすく…京都の老舗が中型・中間色で開発

読売新聞 / 2025年2月9日 14時2分

性別に関係なく使える「ジェンダーレス数珠」(中央。左は男性用、右は女性用)

 老舗の数珠製造卸「神戸かんべ珠数じゅず店」(京都市下京区)が、男女兼用で使える「ジェンダーレス数珠」を開発した。性的少数者に配慮し、性別を問わずに選べるタイプの制服を導入する学校もある中、仏教系の学校の記念品などに採用してもらうのが狙いだ。背景には家族葬の増加などで、若い世代を中心に数珠を手にする機会が減っていることへの危機感がある。(向野晋)

 商品名は「uuu(ユー)」。ユニセックス、ユニーク、ユニバーサルの頭文字から取った。数珠玉のサイズは男性用が直径12ミリ以上、女性用は8ミリ以下が一般的とされるため、中間の10ミリに設定。桜の木を用いた主玉にアクリル玉などを組み合わせ、房は「中間色」の緑がかった薄いグレーにした。

 開発のきっかけはコロナ禍だ。6代目の神戸伸彰社長(46)は「大正期の創業以来の危機だった」と振り返る。少人数で故人を見送る「家族葬」が主流となり、葬儀への参列機会が減ったことで、数珠の売れ行きが一時、コロナ禍前の半分に落ち込んだという。

 それまでも、墓じまいをする墓石の一部を数珠に作り直したり、古くなったウイスキーのたるを再利用したりと、様々な「アイデア数珠」を世に送り出してきたが、今回は本格的な商品開発が必要だった。

 着目したのは、仏教系の学校法人が卒業や入学の記念品として生徒に贈る数珠だった。「ジェンダーレス制服を導入する学校があるのだから、ジェンダーレス数珠も受け入れられるのでは」。複数の学校に聞き取りを行い、ニーズはあると開発に踏み切った。

 さらに、再生PET繊維で織り上げた「京友禅数珠袋」も開発。使用済みペットボトルをリサイクルした繊維で生地を織り上げ、京友禅染を施した。若い世代にも好まれる北欧風のデザインを袋の柄に採用し、伝統と洗練した雰囲気が調和した商品に仕上げた。

 今春の卒業・入学シーズンに向け、昨秋から仏教系の学校などに案内を発送したところ、成約につながったケースもあり、神戸さんは手応えを感じている。

 数珠は玉や房の製作工程に、多くの伝統技術が集まって成り立つ。「伝統の継続と発展」を製造卸としての経営理念に掲げる神戸さんにとって、次世代へのアプローチは大きな使命だ。「若い人たちは多様性を尊重するだけでなく、リサイクルや環境問題にも関心が高い。これをきっかけに、数珠に目を向けてもらえれば」と期待している。

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