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まひ残る片手のリハビリ用ロボ、正常な手の動きの映像で脳を活性化…盛岡の医療機器メーカーが開発

読売新聞 / 2025年2月10日 17時26分

東北医工が発売する「ウーベルト」。モニターを見ながらハンドルを操作し、まひした手指の回復を図る(1月23日、岩手県庁で)

 盛岡市の医療機器メーカー「東北医工」が、まひが残った片手の指のリハビリに役立つロボット型運動訓練装置「ウーベルト」を岩手大などとともに開発した。錯覚による脳の活性化を促そうと、両手で操作する仕組みを採用したのが特徴で、3月3日に発売予定。早期回復や作業療法士の負担軽減が期待される。(三品麻希子)

 脳卒中などの脳血管疾患で手指にまひが残った患者は、関節のこわばりや癒着が元に戻らなくなるのを防ぐため、早期のリハビリが重要になる。しかし、リハビリで利用されるロボットは大半が下半身用で、手指に特化したものはほとんど開発されてこなかった。

 そこで、車載コンピューターの検査装置を製造するピーアンドエーテクノロジーズ(盛岡市)とソフトウェア開発を手がけるホロニック・システムズ(紫波町)は、2013年から岩手大などと共同で新たなロボットの開発に着手した。本格化に向け、22年には両社が出資して東北医工を設立。試作を重ね、今年1月に厚生労働省から製造や販売の承認を得た。

 完成したウーベルトは高さ約30センチ、幅約60センチ、奥行き約40センチで、重さは約10キロ。両手を入れてハンドルを動かすと、接続しているモニターに正常な方の手が左右反転して映し出される。脳はまひしている手が動いているように錯覚し、神経回路の活性化につながる仕組みだ。ハンドル操作で物をつかむゲームの機能も搭載されており、楽しみながらリハビリを継続できる。

 同社によると、脳血管疾患で治療を受ける患者は国内で約190万人に上ると推計される一方、リハビリの専門職の作業療法士は約10万人にとどまっている。人手不足が課題となる中、ロボットの導入によって、医療現場での負担を減らしながらより多くの患者のリハビリが進むことが期待できるとしている。

 1月23日には県庁で記者発表が行われ、同社の大関一陽社長(63)は「手指のまひが改善する可能性の高まるロボット。患者と作業療法士を支える存在になってほしい」と話した。

 予定価格は約500万円。国内の医療機関を対象に発売し、将来的には東南アジアなど海外での販売も目指す。

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