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ホンダ、日産、スズキ「EV遅れ」の波 世界販売台数は中国BYDに抜かれるも反撃の糸口はある

J-CASTニュース / 2025年2月8日 13時0分

ホンダ、日産、スズキ「EV遅れ」の波 世界販売台数は中国BYDに抜かれるも反撃の糸口はある

「プリウス」(PHEV)(画像はトヨタ自動車のニュースリリースより)

日本の主要経済紙や経済専門誌など大手メディアでは、トヨタ自動車など日本メーカーのEV化が遅れ、米テスラや中国の比亜迪(BYD)の遅れをとっているという論調が目立つ。トヨタとテスラの時価総額やEVの世界販売台数を比較すれば、確かにその通りだ。

2024年の各国の自動車メーカーの世界販売台数は、トヨタグループが前年比4%減の1082万台となったものの、5年連続で世界首位を維持した。ところが、ホンダ、日産自動車、スズキがBYDに初めて抜かれ、大きなニュースとなった。

グローバル市場を狙う日本勢

ホンダが5%減の380万台、日産が1%減の334万台、スズキが6%増の324万台だったのに対して、BYDは41%増の427万台だった。EV専業のテスラは178万台だった。

これらの数字をどう読み解くべきか。BYDはEVのほか、エンジン付きのプラグイン・ハイブリッドカー(PHV)も販売し、販売台数ではPHVがEVを上回っている。BYDは大半が自国の中国で売れており、日本はもちろん、欧米への進出は限られている。

テスラは米国はじめ世界で売れているが、178万台の約5割が中国市場となっている。中国は世界最大の自動車市場で、BYDとテスラは中国依存度が高いのが特徴だ。中国は国策として補助金でEV普及を進めており、とりわけ自国メーカーを保護している。

これに対して、トヨタ、ホンダ、日産などは中国を含む世界全体でグローバルにビジネスを展開している。問題は中国のように世界でEVが急速に普及するか否かだ。

独フォルクスワーゲンなど欧州勢がEVにシフトして、脱エンジンを図ろうとしたが、伸び悩んでいることからわかるように、EVは充電時間の長さ、航続距離の短さ、リチウムイオン電池の経年劣化など解決すべき課題が多い。充電スタンドなどインフラ整備もネックとなっている。

トヨタの戦略を間違いとは言えない

トヨタなど日本メーカーがEVで出遅れているのは事実だが、これらの課題が解決しない限り、EVの普及は現実に進まないと理解しているのだろう。その点、EVに特化せず、PHV、HV、燃料電池車と全方位に展開するトヨタの戦略は、まだ世界で勝負が決着しない現状では理にかなっているともいえる。

日本メーカーに反撃のチャンスがあるとすれば、全固体電池だろう。現在のリチウムイオン電池が電解質に液体を用いるのに対し、全固体電池は文字通り固体の物質を電解質に用いる。

エネルギー密度が高く、充電時間はリチウムイオン電池に比べ3分の1に短縮し、航続距離も伸びるとされる。電池の経年劣化も含め、全固体電池はEVの弱点を解消する切り札と期待されている。ただし、固体電解質の開発や量産技術など解決すべき課題が多い。

世界の自動車メーカーや電池メーカーが開発を急いでいるが、日本ではトヨタ、ホンダ、日産が独自に開発を進めている。

このうちトヨタは20年8月から全固体電池を搭載した試作車を公道で走らせデータを取得するなど、特許出願件数では世界をリードしているという。

「e-fuel」開発も世界的に進んでいる

もちろん楽観はできないが、ホンダと日産の経営統合で、両社の研究開発技術を持ち寄れば、全固体電池で世界をリードすることができるかもしれない。

中国も全固体電池の開発を進めている。日本メーカーが公約通り、20年代後半に全固体電池を実用化できるかどうかが、当面の注目ポイントだろう。

一方、水素(H)と二酸化炭素(CO2)を化学反応させて作る「e-fuel」と呼ばれる合成燃料の開発も世界的に進んでいる。日本ではENEOSホールディングスや出光興産などが海外の新興メーカーと組むなどして実用化を目指している。

「人工的な原油」とも呼ばれるe-fuelは、技術的には生産が可能で、問題は量産で狙い通りのコストダウンが図れるかどうかだ。この脱炭素燃料が実用化すれば、トヨタなど日本メーカーが得意とする内燃機関(エンジン)が生き残る可能性がある。

(ジャーナリスト 岩城諒)

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