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4度目の正直でローザンヌ3位の安海真之介さん、恩師「腐らず審査員が落とせないほど技術を磨いた」

読売新聞 / 2025年2月9日 15時39分

古典の課題作品を踊る安海さん(最終予選で) PDL2025 (C)Gregory Batardon

 第53回ローザンヌ国際バレエコンクールで3位に入賞した安海真之介さんを中学1年の頃から指導する群馬県の山本禮子バレエ教室主任の関田和代さんは日本で決選を見守った。師弟が「世界の登竜門」にかけた思いとは?

 「古典も現代舞踊も彼らしく踊ることができ、そして審査員の先生方に評価していただけた。本当に良かった」と安堵あんどする。

 ローザンヌへの挑戦は4度目。国内コンクールでは1位を連発し、技術的に申し分のないレベルだったが、門を開けてくれなかったという。「1m60の身長では厳しいというのは分かっていました。『真ちゃん、ローザンヌは諦めて次のステップを考えよう』と声をかけたこともあります」と振り返る。

 だが、本人の回答は「だめかもしれないけどやりたい」。自分で率先して準備を進めた。「腐らずに審査員が落とせないほどに技術を磨いた。そこが本当に彼のすごさだと思います」

 普段は人見知りだが、ユーモアがあり、周囲の人から愛される人柄も功を奏した。最終予選で現代舞踊を踊った後、冒頭と同じくDJのように腕を十字に切る振りをしながら楽しそうに舞台袖に去った。あらかじめ与えられた振り付けにはない動きだ。「それまでやってなかったのに、最終予選で突然やりだして驚いた。『真ちゃん、決選では2回目になるし、やりづらいよ』とは言いましたが、決選でもやった。そういう思い切ったところがある」と笑う。

 観客賞と劇場に敬意を表して設けられた「ボーリュー賞」も受賞。「観客、スタッフにも愛されたというのが本当にうれしい。4年待ったかいがありました」とほほえむ。

 古典の課題作品に「眠れる森の美女」のデジレ王子のバリエーションを選んだのは、安海さんが憧れる教室の先輩でドイツで活躍した横関雄一郎さんが1998年に「ローザンヌ」に出場し、入賞した際にも踊った作品だから。安海さんも横関さんが着用した衣装で踊った。「大変シビアな見方になりますが、彼自身、体のサイズからいって将来バレエ団に入ったときに王子役をやれるとは想定していない。コンクールだけは好きな役を踊れるからと選びました」

 ただ、関田さん自身、ここ数年のバレエ界を取り巻く状況の変化も彼にプラスに影響したのではないかと考えている。「海外では、男性がトウシューズを履いて女性パートを踊る事例が最近出てきており、長身の男子が絶対ではなくなっている。現実は厳しいと思うが、今回の受賞を人生のピークにせずに彼自身の道を切り開き、踊り続けていってほしい」と温かく語る。

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