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虐待疑いで一時保護の司法審査、1件の手続き8時間超…全国の児童相談所が試行運用

読売新聞 / 2025年2月11日 5時0分

 虐待が疑われる子どもを親から引き離す一時保護での「司法審査」について、全国の児童相談所が導入を前に試行運用した結果、1件あたりの手続きに8時間超かかったことがわかった。現在でも多忙な児相が、新たな負担を抱えることが浮き彫りになった。

 司法審査は今年6月に始まる。全ての一時保護に必要な手続きではなく、親が保護に反対した場合、児相が裁判所に「一時保護状」を請求し、裁判所が保護すべきかを審査する仕組み。

 一時保護は児相と親がトラブルになりやすい。児相が保護をためらい、虐待死につながったこともある。中立的な立場の裁判所が関与して「お墨付き」を与えることで、透明性を高める狙いがある。

 制度導入を前に昨年3~5月、北海道、東京都、大阪府、福岡県など全国18自治体の児相で試行運用が行われた。実際に進行中の約240のケースで、子どもと親の意見聴取のほか、請求書や一時保護の必要性を裏付ける資料の作成など、裁判所が判断を下すまでの流れを実践した。

 その結果、新たに必要になった主な作業時間の中央値を積算すると、計8時間17分だった。特に裏付け資料の準備や、裁判所に書類を届けて判断を待つまでに時間を要したという。

 2022年度の虐待による一時保護件数は2万9860件。政府は21年、司法審査の対象を年間3300件程度と見込んだ。児相の負担増に備え、一時保護の判断を担う児童福祉司を26年度末までに約910人増員し、7390人にする。

 こども家庭庁は試行運用の結果を受け、手続きを迅速化するため、親権者を特定する戸籍謄本を児相が本籍地以外の自治体にも請求できることを、児童福祉法の施行規則に明記した。

 児童福祉に詳しい独協大の和田一郎教授は「対応件数の多い都市部の児相では特に影響が大きい。職員の負担は相当増えるだろう。法的な判断や手続きに詳しい弁護士を配置するといった負担軽減策の強化が必要だ」と指摘する。

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