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「社内公募異動制度」を導入する会社が増加中 社員が希望する仕事に手を挙げる

J-CASTニュース / 2025年2月10日 12時10分

「社内公募異動制度」を導入する会社が増加中 社員が希望する仕事に手を挙げる

「社内公募異動制度」を導入する会社が増加中

「いまの仕事ではキャリアアップできない。転職しようかな」――。そう考えている社員を放置すれば、せっかく育成した意欲ある人材を流出させてしまう。それならば、ということで、社員の希望に沿って社内異動をさせる会社が増えている。

ある調査結果によると、「社内公募異動制度」を実際に利用したことがある人や興味がある人を合わせると、回答者の4割にのぼるという。具体的にどのような制度として設計されているのだろうか。

「社内FA制度」など3種類の選択肢

「社内公募異動制度」に関する調査を行ったのは、副業人材マッチングサービス「lotsful(ロッツフル)」。20~40歳代の男女会社員661人から回答を得た。

肯定派の4割の内訳は、「社内公募異動制度を利用したことがある」が6.7%、「社内公募異動制度を利用したことはないが応募したことはある」が7.6%と、経験者はごく少数。「社内公募異動制度を利用したことはないが興味がある」が14.5%、「(自社に)社内公募異動制度がないが、もしあれば利用したい」が11.3%だった。

一方、「(自社に)社内公募異動制度がないし、利用してみたいとも思わない」の28.9%と、「分からない」の23.1%を合わせると約6割にのぼり、明確な興味を示していない人が多数派となっている。

調査結果には「社内公募異動制度」とはどのようなものか、定義や例示がない。そこで都内企業で人事担当を務めるAさんに聞いてみた。

「まず、社員の『異動』には4つの種類があります。1つ目は従来の異動で、会社が一方的に指示命令するもの。会社には都合がよいのですが、社員の意向が反映されないためモチベーションが低下し、退職につながることもあります。そこで3種類の『公募』が新たに生み出されました」

公募の1つ目は「社員が自ら希望するポジションに応募する方法」。社員のモチベーション向上や、優秀な人材の流出防止に寄与する可能性がある。その一方で、選考に合格できず不満を募らせるリスクや、人材の取り合いによる部署間の摩擦が生じる可能性もある。

2つ目は「社内FA(フリーエージェント)制度」。社員が自身のスキルや希望を登録し、各部署がスカウトする。異動後のミスマッチを防ぎ、優秀な人材の発掘につながるが、人材層が厚い会社でないと機能しづらい。

3つ目は「キャリアマッチング制度」で、社員の志向や能力と各部署のニーズを、担当部署がマッチングする。ミスマッチの減少や適材適所の推進が期待できるが、調整コストがかかるうえマッチングの難易度も高い。社員も受け入れ部署も「期待外れ」と感じるリスクもある。

一方的な異動命令では意欲が下がる

一方的な異動命令と比べ、いずれも手間のかかる「社内公募異動制度」だが、実際に採用する企業は多いのだろうか。Aさんによると「上場企業では珍しくない」という。

「企業の採用サイトを見ていると、明らかに増えていますね。特に従業員の平均年齢が若く、年功序列ではない会社が多いです。人事担当者が参考にすることが多いのは、先進的な取り組みを行うサイバーエージェントですが、『U-NEXT』などを運営するUSEN-NEXT GROUPや、不動産テックのGA technologies、日本郵政グループなどでも公募制度が導入されています」

サイバーエージェントの「キャリチャレ」は、社内版求人サイトに掲載されたポジションに異動の申し込みを行える制度。現在の部署に1年以上所属している社員が応募でき、応募者の約7割が希望のポジションへ異動を果たしているという。社内には、社内ヘッドハンティングを専門とする部署もある。

しかし、会社がそこまで手間をかける必要があるのだろうか。パーソル総合研究所の調査によると、会社指示による異動命令に対し「会社の指示なので従う」と回答した従業員は43.2%。一方で「希望条件に合わなければ拒否する」「拒否できないのであれば退職や転職を検討する」と回答した従業員は合わせて21.6%と少数派だった。

先述の調査でも、社内公募に興味を示していない人が6割にのぼる。しかしAさんは「多数派が興味を持たなくても、制度を導入する意味はある」と指摘する。

「別部署でどんな求人が出ているのかを見るだけでも、他の社員の業務内容が分かるようになる意義があります。グループ企業が複数の事業を展開している場合、会社の一体感が希薄になりがちですが、求心力を高める効果も期待できます」

また、「社内公募異動制度」の存在が、社員にキャリア形成を主体的に考えさせるきっかけとなり、「うまく運用されれば、『みんながやっているから自分も』という好循環が生まれやすい」という。

それでもAさんは、大多数の社員は受け身であり、「実際に自分の意思で異動を希望するのは、全社員の2~3割程度」と見ている。

「この制度のターゲットは、自分の可能性を広げたいという意欲が強く、飽きっぽいが会社として辞めてもらいたくない優秀な人材に限られるでしょう。全体から見れば少数派ですが、そうした人材をつなぎとめる制度としての価値があるのではないでしょうか」

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