「中間貯蔵施設」で保管の除去土壌、最終処分量の低減に...再利用の必要性 環境省が説明会
J-CAST会社ウォッチ / 2025年2月10日 17時15分
![「中間貯蔵施設」で保管の除去土壌、最終処分量の低減に...再利用の必要性 環境省が説明会](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/jcastkaisha/20250210jcastkaisha202510501426_0-small.jpg)
説明する中野哲也参事官
環境省は2025年2月4日、11年に起こった東日本大震災による東京電力福島第一原発事故での環境再生事業についての報道機関向け説明会を行った。
それによると、除染された放射能物質を含む土砂は1404万立方メートルに達し、「中間貯蔵施設」のある福島県大熊町と双葉町に大きな負担が発生しているという。また、土砂の「30年以内(2045年3月まで)の福島県外での最終処分」の方針についてを解説した。
説明にあたった環境省 環境再生・資源循環局環境再生事業担当参事官の中野哲哉氏は土砂の県外最終処分・再生利用について「全国民的な理解醸成は必要不可欠」と強調した。
除染作業で集められた土壌は大熊町と双葉町の「中間貯蔵施設」へ
中野氏ははじめに、東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第一原発事故によって福島県の飯館村、葛尾村、南相馬市、浪江町、大熊町、双葉町の7市町村が帰宅困難区域に指定された経緯を説明。2020年代には、住民が帰還することを目標に、農地や宅地、道路などの除染作業を行っているとした。
除染作業では放射性物質が付着した土壌を削り取るとともに、建物や道路では洗浄を行っている。除染作業によって集められた土壌は、福島県大熊町と双葉町の約1600ヘクタールの中間貯蔵施設に集められているという。
中野氏は、「大熊町と双葉町が地元の人たちには先祖代々受け継いだ土地・家屋を手放すという大変重い決断をしていただいた」としたうえで、中間貯蔵施設ができたことで福島県全体の復興に寄与したことを語った。
また、福島県では原子力発電所の事故による環境の汚染が深刻であること、福島県民がすでに重すぎる負担を強いられていることを指摘した。
土壌の安全性を確保したうえで土砂の再利用が必要
2024年12月末時点では、中間貯蔵施設に集められている除去土壌などは1404万立方メートルで、これは東京ドーム11杯分という量に相当する。「県外最終処分に向けて、最終処分量を低減させるために、土壌の安全性を確保したうえで土砂を再利用することが必要になる」と中野氏は語った。
このうち、放射性物質の濃度が低い土壌は、適切な施工・維持管理のもと、可能な限り再利用している。濃度が低い土壌は、中間貯蔵施設の4分の3の量に当たるという。
一方で、中間貯蔵施設の4分の1にあたる、基準値を超える濃度が高い土壌は、土壌の量を減らすために減容(物の容積や容量を少なくする)技術を使用した上で、最終処分を行うとした。減容技術として、より放射性物質の濃度が高い土だけを取り出せるよう、ふるいにかけてより分け、セシウム分解結晶化の技術、ばいじん化などを行っている。
最終処分の認知度...福島県は5割程度、県外は約2割
環境省では、福島県外の全国での最終処分実現に向けて、除去土壌の再生利用による最終処分量の低減がカギになると考えている。そのため中野氏は、減容技術の開発、再生利用の実証事業、国民的な理解を得ることを着実に進めている、と話した。
さらに、2024年度を一つの区切りの目標年度とし、再生利用・最終処分の基準省令や最終処分場の構造・必要面積の確保を進める。
ほかにも、福島県内における再生利用実証事業では、除去した土壌を再生資材化し、盛り土材として利用。その上に覆土をして農地や道路として利用する実証事業を行い、安全性を確認していることを報告した。
今後、県外最終処分の実現に向けて、除去土壌の再生利用による処分量の低減方策、風評影響対策の施策について政府一体となって推進する、とした。そのためには、閣僚会議を設置して各省庁が一丸となって、再生利用の案件を創出するべく取り組みを進めていきたいという。
もっとも、中野氏は最終処分の認知度について、福島県は5割程度、県外では約2割にとどまることを指摘し、全国での最終処分の実施に向けて「全国民的な理解醸成は必要不可欠」と強調した。
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