1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

世界に売り込め「金色キャビア」、岐阜で養殖業者が開発…突然変異の白いチョウザメ繁殖に成功

読売新聞 / 2025年2月11日 13時20分

アルビノのチョウザメから採れた金色のキャビア

 岐阜県中津川市福岡の山あいで、チョウザメの養殖と繁殖を手がける大山晋也さん(42)が、「金色のキャビア」づくりに成功した。注目したのは、突然変異で色素が作れず、体の色が白っぽくなる個体「アルビノ」。白っぽいチョウザメは「金色」の卵を産んでくれるが、生命力が弱く、すぐに死んでしまう――。苦悩が続く中、知恵を絞って、光り輝く「夢のキャビア」にこぎ着けた。(川口武博)

本業の傍ら挑戦

 大山さんの本業は土木建設業だが、父親の趣味だったニシキゴイの飼育を手伝うなど、魚に親しんでいたこともあり、新ビジネスとして養殖を始めようと決意。建設会社の「水産事業部」という位置づけで、10年余り前からチョウザメの本格養殖を始め、今では、約4000匹を育てる。

 かつてニシキゴイを飼っていた広い休耕田の池で、自然に近く、のびのびと過ごせる飼育環境にこだわる。さらに、そのチョウザメの卵を塩漬けにして作った「キャビア」を特殊冷凍装置で急速冷凍することで鮮度を維持、キャビア本来が持つ味を守る。

 「とても濃厚でクリーミー。そして、ほのかに甘みも感じられる」(大山さん)キャビアは、高級料理店・有名シェフに提供され、中津川市のふるさと納税の返礼品にも採用されている。

育たず試行錯誤

 キャビアの注文が相次ぐ中、大山さんが取り組む新たな挑戦が「金色のキャビア」だった。

 チョウザメは黒色だが、突然変異で色素が作れない個体「アルビノ」が生まれる。「アルビノ」同士をかけあわせて生まれた卵は金色に見えるが、実はそう簡単にいかない。「アルビノは生命力が弱いので、なかなか育たず死んでしまう。試行錯誤で魚にストレスを与えないように育ててきた」

 2018年から、アルビノのチョウザメの本格養殖を始めた。孵化ふかはするけれど、稚魚から成長せず失敗の連続だった。

 一般の黒色のチョウザメとは水槽を分けるなど、細心の注意を払って育て上げ、24年1月に待望の「金色の卵」を採取できた。県水産研究所(各務原市)にもアルビノのチョウザメからキャビアができたことを確認してもらった。

「ほんのり甘み」

 チョウザメは約10年で大きいもので体長約1・8メートル、50キロぐらいになるが、アルビノは成魚でも1メートルほど。いけすの中には数え切れないほどのアルビノのチョウザメが元気に泳いでおり、大山さんは「今までの苦労が報われた」と笑う。

 金色のキャビアは「通常の黒色のキャビアよりも小粒だが、味はほんのり甘みがありますよ」とPRする。

 物価高騰で国内需要が落ち込む中、大山さんは世界の富裕層への売り込みに目を向けている。

 今月はイギリスの商社との商談を予定している。3月下旬には、アメリカ・ラスベガス、夏にはシンガポール、来年は中東のドバイで展示会も予定している。

 大山さんは「将来は、金色のキャビアといえば中津川と言われるぐらい、世界に売り込みたい」と夢を語った。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください