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ホロコーストに向き合った「リアル・ペイン~心の旅~」公開中…監督「家族史に思いはせるきっかけ」

読売新聞 / 2025年2月11日 23時37分

自由で繊細ないとこのベンジー(キーラン・カルキン、左)に振り回されながらも、デヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)はどこかでうらやましく思っている

 公開中の「リアル・ペイン~心の旅~」は、いとこ同士の2人がポーランド旅行を通じて痛みを分かち合う過程を描きつつ、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の暗い歴史にも誠実に向き合った作品だ。ポーランドにルーツを持つユダヤ系米国人で、脚本、主演も兼ねたジェシー・アイゼンバーグ監督に聞いた。(石塚恵理)

 「エンタメ作品として触れてもらいながら、観客の皆さんが自分の家族史に思いをはせたり、歴史を深く知ったりするきっかけにしてもらえたらうれしい」と語る。

 祖母を亡くしたデヴィッド(アイゼンバーグ)は、ベンジー(キーラン・カルキン)と共に祖母の故郷ポーランドに赴き、第2次世界大戦の史跡ツアーに参加する。いとこ同士でも性格は正反対の2人で、神経質なデヴィッドは「自分にかなり似ている」とする一方で、自由奔放なベンジーは「ある種、自分がうらやましいと思うタイプ」と言う。

 繊細さと危うさを併せ持ったベンジーの人物造形について、「自然体で、喜びも悲しみも色んな感情を強烈に感じている。自分もそんな感情を体験してみたいと思う反面、そういう人が感じる悲しさは想像もつかなくて、少し怖い」と語る。

 今年の米アカデミー賞にもノミネートされている脚本は、2人やほかのツアー客たちの欠点すらもチャーミングに描き出している。生き生きとしたせりふの応酬は、俳優として活躍しながら戯曲も書き、「脚本家と出演者、両方の脳を持っている」からこそだ。「せりふを書いているとキャラクターの声が聞こえてくるように感じます。今回は書きながらパソコンの前で笑ったり泣いたりしていた」

 デヴィッドとベンジーは旅の中で祖母も経験したナチス・ドイツによる迫害の歴史に触れる。ツアー一行が強制収容所の跡地を見学するシーンが出色だ。誰も言葉を発しない張り詰めた静寂から、ツアー客たちの心境が伝わってくる。

 撮影はまず、建物の中にカメラを置き、俳優はどこから撮られているか分からない状態で演じてもらったという。「感じるまま自然に滞在して、去りたい時に去ってほしい、とお願いした。この施設が今、どんな機能を果たしているのかを、心からのリスペクトを持って見せたかった」

 今作が監督2作目。出演も兼ねたのは初めてだ。「こう演じてほしいと思う方向に共演者の背中を押していって作品のペースを作ることができた。撮影現場でスパイをしているような感じでした」

 3作目のクランクインも間近に控える。「夢としては1年に1本は作って、常に忙しくしていたい」と旺盛な意欲を隠さずに語った。

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