ラピダス支援法 政府はリスク管理を徹底せよ
読売新聞 / 2025年2月12日 5時0分
先端半導体を巡る国家間の競争は激しく、政府が踏み込んだ資金支援策を行う必要性は高い。だが、先端技術に対する需要の変化は速い。
政府は事業のリスク管理も徹底しなければならない。
政府は、半導体産業や人工知能(AI)分野の支援を大幅に強化するため、情報処理促進法と特別会計法の改正案を閣議決定した。政府による出資や債務保証、税優遇などをできるようにする。
次世代半導体の国産化を目指すラピダスなどの企業や、データセンターの事業などには、2030年度までに10兆円以上の公的支援を行うことを想定している。
米欧や中国などは半導体産業に巨額の資金支援を行っている。日本も中長期的な展望の下で、資金を投じていくことが大切だ。
ラピダスは、半導体戦略の中核に位置づけられている。今春から北海道千歳市で、回路の線幅が2ナノ・メートル(ナノは10億分の1)の最先端品の試作品生産を始める。27年から量産する計画だ。
政府はこれまで1兆円近くを投じてきたが、さらに4兆円程度の資金が必要とされている。
最先端品は台湾積体電路製造(TSMC)が圧倒的な競争力を誇り、年内に2ナノ製品の量産を始めるとみられている。
一方、国産メーカーは、これまで40ナノ製品までしか手がけていない。事業リスクの高さを懸念する民間からは、十分な資金を呼び込めていないのが実情だ。
このため、政府が全面的に支援する姿勢を明確にし、出資にまで踏み込むことにした。25年度に1000億円程度を出資する予定だ。民間からも1000億円程度の出資を見込んでいるという。
国が事業リスクを正面から負って民間企業に巨額の出資を行うのは異例である。損失が生じた場合には国民負担になるからだ。官の存在が大きくなれば、民間との間で責任の所在が不明確になり、失敗のリスクも高まりかねない。
そうした事態を防ぐには、民間の自律性を確保しながら、政府が事業リスクを適切に管理する仕組みが不可欠になる。外部からチェックする手法も検討すべきだ。
一方、中国の新興AI企業「ディープシーク」が開発した生成AIが、最先端半導体を大量に使わずに高性能を実現したとして衝撃を与えた。高価な半導体の需要が想定ほど伸びないとの見方が広がり株式市場を揺さぶった。
環境変化には、官民とも柔軟に対応することが重要になろう。
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