米の鉄鋼25%関税、狙いは中国製品の流入阻止…トランプ大統領「報復は気にしない」
読売新聞 / 2025年2月12日 7時30分
【ワシントン=田中宏幸、ニューヨーク=小林泰裕】米国のトランプ大統領は、輸入される鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税の例外措置について見直しを決めた。全ての国・地域から輸入される製品に25%の関税を課すことで、中国の安価な鉄鋼製品などが第三国を通じて米国に流入することを防ぐ狙いがある。
10日にホワイトハウス内で関税関連の文書に署名する際、トランプ氏は記者団の取材に応じた。鉄鋼・アルミ製品への関税については、「例外なしで25%だ。全ての国に適用される」と強調した。
米鉄鋼協会によると、米国は2024年に2886万トンの鉄鋼製品を国外から輸入した。最大の輸入先はカナダで、全体の輸入量に占める割合は22・7%(656万トン)だった。2位はブラジルの15・6%(450万トン)、3位はメキシコの12・2%(352万トン)などとなっている。
粗鋼生産量が世界1位の中国はこれまでの高関税策などの影響で、日本の4・1%よりも低い1・8%だった。ただ、トランプ氏は、中国の安価な製品がメキシコなどの第三国を通じて米国に輸出され、米国内の鉄鋼業が打撃を受けているとみて、例外のない関税措置が必要だと考えた模様だ。
政権内でも、中国を念頭に「外国政府は長きにわたり、鉄鋼およびアルミニウム産業に補助金を与え、不当に安い輸入品を市場に流入させてきた」(ピーター・ナバロ大統領上級顧問)との声が出ている。
トランプ氏は「(相手国からの)報復は気にしない」と発言したが、例外措置の適用がなくなる欧州連合(EU)などは反発している。
EUの執行機関・欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は11日、「米国の決定を深く遺憾に思う。企業や消費者にも悪影響だ。不当な関税は無視できず、断固とした相応の対抗措置を講じる」との声明を発表した。加盟国で鉄鋼製品の対米輸出が多いドイツは、報復関税の発動を主張している。
今回の関税措置が発動されれば、米国内に生産拠点を構える自動車メーカーには、調達コストの増加などの影響が出そうだ。10日の米株式市場では、収益悪化への懸念から、電気自動車(EV)大手テスラの株価が前営業日比3%安、自動車大手ゼネラル・モーターズの株価も2%安となった。
これに対し、米国内で製造される鉄鋼製品への需要が高まるとの期待から、鉄鋼大手の株価は値上がりした。クリーブランド・クリフスの株価は18%高、USスチールの株価は5%高だった。
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