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診療所の半数「後継者いない」…医師不足地域の承継や開業に補助金、偏在対策で厚労省が補正予算

読売新聞 / 2025年2月12日 15時0分

 医師が不足する地域を対象に、厚生労働省が診療所の承継や開業の支援事業を始める。高齢医師の引退や後継者不足により、2040年には全国の自治体の2割で診療所が消滅するとの試算もある中、診療所の建物や設備の整備費、人件費を補助する。都市部に医師が集中する偏在解消の観点から、24年度の補正予算に102億円を盛り込んだ。

 事業費は、厚労省と都道府県が出す。都道府県が、偏在対策を重点的に進める区域を指定し、全国の医師に重点区域内の診療所の承継や新規開業を募集する。

 都道府県の呼びかけに応じた医師には、建物の改修、医療機器の更新に関する費用の一部を補助する。医師や看護師の人件費やマスク、アルコール消毒液など消耗品の購入費の一部も、区域内での診療が軌道に乗るまでの一定期間、補助の対象とする。

 厚労省によると22年時点で、診療所がない市区町村は77にのぼる。今後、全国の診療所の医師が75歳で引退し、承継や市区町村内での開業がないと仮定した試算では、40年には4・4倍の342になる。全市区町村の2割に相当する。診療所が1か所のみの市区町村は175から249に増える見込みだ。

 民間信用調査会社の帝国データバンクのまとめでは、24年に、診療所の休廃業・解散は587件で、比較可能な00年以降、過去最多を記録した。同社は、「増加している最大の要因は、経営する医師の高齢化」と分析している。

 日本医師会総合政策研究機構の19年調査では、全国の診療所の半数が「現段階で後継者候補はいない」と回答した。山形県米沢市で田中クリニックを開業する田中雄二院長(68)も、体力の衰えに不安を感じ、後継者を探しているが難航している。1日60~80人が受診、外来の合間に訪問診療も担う。

 同県は、医師の充足度を示す医師偏在指標でワースト8位となっている。田中院長は「近隣の開業医も高齢で、このままでは地域住民を診る医師がいなくなる恐れがある。経済的な支援で、後継者が見つかることを期待する」と話す。

 厚労省は、重点区域で働く医師の手当の増額や、都市部で働く中堅・シニアの医師に、医師が不足する地域の医療機関を紹介する事業も始める。補助事業と合わせ、都市部の医師が地方に赴任しやすい環境を整える。

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