「軍艦島」元島民らがＮＨＫ製作映画で「名誉傷つけられた」と抗議…韓国で「劣悪な強制労働の証拠」とされ

ＮＨＫの稲葉延雄会長

　長崎・端島（通称・軍艦島）をめぐり、ＮＨＫが制作した番組「緑なき島」について、本来の制作意図と違う目的で韓国で利用され、名誉を傷つけられたと元島民らが抗議している。ＮＨＫの稲葉延雄会長は１２日の定例記者会見で「長い期間にわたって大変つらい思いをさせ、名誉を傷つけられる時期が続き、申し訳なかった」と謝罪した。

　同番組は端島で暮らす人々の生活などを描いており、ＮＨＫで１９５５年に放送された。その後、韓国の公共放送ＫＢＳに提供され、同国内で、炭鉱での劣悪な強制労働の証拠として紹介された。稲葉会長はこの日の会見で「（韓国側に）目的外使用はつつしんでもらいたいと折に触れて言ってきた」と強調。元島民に直接会って謝罪することを検討していると明かした。

　この映像について、一部が端島炭鉱以外で撮影されたとも元島民は抗議していたが、ＮＨＫは「端島炭鉱以外のものであるとの結論に至らなかった」と見解を示していた。元島民らは昨年１月、訂正と謝罪広告をＮＨＫに求めた民事調停を申し立て、昨年１２月、調停が成立。その中でＮＨＫは、一部の映像が端島炭鉱内のものだと確認できなかったことを認めていた。