日産労組、昨年と同額の賃上げ要求も一時金はリーマン・ショックに次ぐ低水準…自動車大手の春闘の交渉本格スタート
読売新聞 / 2025年2月12日 23時48分
自動車大手の労働組合は12日、賃上げを求める要求書を経営側に提出し、2025年春闘の労使交渉が本格的にスタートした。各労組は、歴史的な賃上げを実現した昨年と同水準の要求を掲げた。トランプ米大統領の関税政策など不安要素もあるが、3月中旬の集中回答日に向け、賃上げの機運を盛り上げる考えだ。(奈良橋大輔、中部支社 水野翔太)
トヨタ自動車労組は、職種や賃金等級に応じ、基本給を底上げするベースアップ(ベア)にあたる賃金改善分と定期昇給を合わせた総額で月額9950~2万4450円を要求した。賃上げの原資は比較可能な1999年以降で最高だった前年と同水準となった。
マツダ、SUBARU(スバル)の労組もそれぞれ、現行の人事制度や要求方式で最高の要求を掲げた。
日産自動車労組も月額1万8000円と、現在の賃金体系となった05年以降で過去最高だった昨年と同額を要求した。ただ年間一時金は、前年から0・6か月分引き下げ5・2か月分とした。下げ幅はリーマン・ショックの影響があった09年に次ぐ水準だという。
日産は24年9月中間連結決算で最終利益が前年同期比9割減となったうえ、ホンダとの経営統合協議も白紙化する方針だ。厳しい経営環境を背景に、労使交渉も難航が予想される。
ホンダ、スズキ、三菱自動車の3労組は前年から要求額を引き下げた。ホンダは中国での販売不振などで25年3月期の最終利益が14%減となる業績予想を考慮した。それでも、長引くインフレ(物価上昇)に対する危機感から、引き下げ幅は500~2000円にとどめ、高めの要求水準を維持した。
各労組が加盟する自動車総連の金子晃浩会長は12日の記者会見で「業績は苦戦している企業が多いが、競争力をつけ人材を確保するため、(各労組を)サポートする」と強調した。満額回答が相次いだ24年春闘の勢いをつなげる考えだ。
大手の交渉結果は、その後に本格化する中小の交渉に大きく影響する。自動車総連は今春闘で、ベアの要求額の目安として月額1万2000円を掲げた。具体額を示すのは7年ぶりで、交渉力が比較的弱い中小労組を後押しする狙いがある。
裾野の広い自動車業界では、中小の賃上げの原資を確保するための適正な価格転嫁が特に欠かせない。
トヨタは12日、25年度上半期(4~9月)の部品メーカーからの仕入れ価格を引き上げる方針を明らかにした。部品製造に使う金型の保管コストなどを仕入れ価格に上乗せする。部品メーカー側の負担を和らげる狙いで、対象は直接取引がある約400社に上る。
昨年には、日産が下請け業者への納入代金を発注後に減額したとして、公正取引委員会から下請法違反で勧告を受けた。金子氏は「価格転嫁が浸透しきっていない。各社が健全な経営活動を行えるような基盤を作りたい」と述べた。
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