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入院患者が相部屋の男に殺されたのに病院は通報せず、遺族には「肺炎」の診断書…犯人隠避容疑で立件へ

読売新聞 / 2025年2月13日 5時0分

みちのく記念病院(2月6日、青森県八戸市で)

 青森県内の病院で2023年3月、入院患者が相部屋の男に殺害される事件があった。この事件を巡り、病院関係者が死亡の経緯を隠そうとしたとして、県警が犯人隠避容疑での立件に向け、詰めの捜査を進めていることがわかった。病院は県警に通報しなかった上、遺族には死因を「肺炎」とする死亡診断書を渡しており、県警はこれらが隠蔽いんぺい行為にあたるとみている。

 殺人事件があったのは八戸市の「みちのく記念病院」(413床)。同年3月12日深夜、入院患者の高橋生悦さん(当時73歳)が、アルコール依存症などで入院していた相部屋の男(59)から顔面を歯ブラシの柄で何度も突き刺され、別室で手当てを受けたが、翌13日午前10時10分に死亡が確認された。男は殺人容疑で逮捕され、懲役17年の実刑判決が確定している。

 当時、病院は県警に事件の発生を通報せず、職員は家族に対し、死亡確認時刻と前後する時間帯に「転んで容体が急変した」と電話で連絡していた。妻によると、病院に駆けつけたときにはすでに亡くなっており、遺体を引き取った後に確認すると、顔は包帯で巻かれ、血のようなものがにじんでいた。

 病院から詳細な説明はなく、看護師から渡された死亡診断書では直接の死因が「肺炎」とされていた。発病から死亡までの期間は「1日間」とあり、肺炎になった原因の欄に記載はなかった。

 しかし、病院の対応に疑問を持った職員が13日午後6時過ぎ、県警に内々に通報。県警は急きょ高橋さんの家族と連絡をとり、遺体を司法解剖に回した。県警によると、刺された傷は脳にまで達していた。

 司法解剖を受けて別の病院の医師が作成した死体検案書では、死因は「頭と顔の損傷」で他殺だとされた。捜査関係者によると、司法解剖前に撮影したCT(コンピューター断層撮影法)画像でも肺炎特有の影はみられなかったという。

 県警は23年4月、刑法の虚偽診断書作成などの容疑で病院を捜索したが、その後の捜査で、高橋さんの家族への「転んだ」という説明や、「肺炎」とした死亡診断書の交付などが犯人隠避容疑に該当する可能性があると判断した。

 高橋さんの妻は「警察が捜査をしていなかったら、遺体をそのまま火葬していた」と憤る。読売新聞は当時の対応などについて病院側に見解を尋ねたが、運営法人は「回答しない」とした。

 みちのく記念病院は1990年に開設。精神科や内科などがある。運営するのは医療法人「杏林会」(本部・東京都目黒区、石山隆理事長)。ホームページによると、杏林会は、同病院を含め、東京都、岩手、神奈川両県で4病院、東北、関東、東海地方で20以上の介護老人保健施設などを展開している。

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