新型ウイルス、世界経済回復を阻害 貿易などもリスク=IMF
ロイター / 2020年2月20日 13時50分
国際通貨基金(IMF)は19日、新型コロナウイルスの感染拡大はすでに中国の経済成長の阻害要因になっているとし、他国に感染が広がれば、「非常に脆弱」と見込まれていた2020年の世界経済回復が頓挫する可能性があるとの見解を示した。香港で7日撮影(2020年 ロイター/Hannah McKay)
[ワシントン 19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は19日、新型コロナウイルスの感染拡大はすでに中国の経済成長の阻害要因になっているとし、他国に感染が広がれば、「非常に脆弱」と見込まれていた2020年の世界経済回復が頓挫する可能性があるとの見解を示した。
IMFのゲオルギエワ専務理事は、新型ウイルス発生は予期せぬ出来事が脆弱な回復をいかに脅かすかを思い起こさせるとし、週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では貿易や気候変動、不平等に関連する不確実性の軽減に向けて取り組むよう要請。「不確実性がニューノーマル(新常態)になりつつある」とし、「疫病など一部の不確実性は制御不能だが、避けられる不確実性を新たに作り出すべきではない」と述べた。
G20財務相・中央銀行総裁会議は今週20─23日にサウジアラビア・リヤドで開催される。[nL4N2AJ3PU]
新型ウイルスの感染が拡大しているものの、IMFは今年の世界経済成長率見通しを1月時点の3.3%で据え置いた。10月時点からは0.1%ポイント下方修正されている。19年は2.9%だった。
貿易摩擦の再燃や新型ウイルスのさらなる感染拡大で経済回復が弱まり、頓挫する可能性があると指摘。新型ウイルスの感染拡大はすでに中国の生産を混乱させており、観光や供給網、コモディティー価格を通じて他国に影響を与える可能性があるとした。
IMFは、サイバー攻撃や中東での地政学的な緊張の高まり、米中通商協議の破綻などが世界の短期的な回復を妨げる可能性があるほか、気候変動に関連する災害、保護貿易主義、持続的な不平等によって引き起こされる社会不安や政情不安がさらなる経済的リスクをもたらすとも指摘した。
ゲオルギエワ専務理事はブログで、第1段階の米中通商合意によって貿易摩擦の悪影響が一部相殺され、2020年の世界の総生産の押し下げ分を0.2%緩和、あるいは全体的な影響の4分の1が取り除かれるが、多くの関税が継続されており、貿易や投資をゆがめると同時に世界経済に約1000億ドルの負担がかかる可能性があるとした。
また、気候変動に関連する自然災害が発生した国・地域の年間成長率が平均で0.4%低下するとの新たなIMF推計を明らかにし、政策当局者はエネルギー源の多様化と強靭(きょうじん)なインフラへの投資に集中すべきとした。
さらに富の不平等解消への持続的な取り組みも重要だとし、この問題が政府への不信につながり、社会不安の一因になりかねないと警告。質の高い教育や研究、デジタル化への投資を通じ、生活水準の引き上げや給料の良い雇用の創出に焦点を当てることで、各国政府は今週にも対応することができると語った。
*内容を追加しました。
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