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アングル:短期金利先物の取引増加、海外勢中心 日銀の政策正常化観測

ロイター / 2023年9月20日 17時29分

Light is cast on a Japanese 10,000 yen note as it's reflected in a plastic board in Tokyo, in this February 28, 2013 picture illustration. REUTERS/Shohei Miyano/Illustration/File Photo

Tomo Uetake

[東京 20日 ロイター] - 大阪取引所に今年上場した短期金利先物が、来年初のマイナス金利解除を織り込んできている。現時点では海外投資家が中心だが、取引は増えつつあり、日銀の政策正常化観測が強まれば参加者の裾野が広がる可能性がある。市場の政策金利予想を反映する日本版「Fedウォッチ」と期待する声も聞かれる。

短期金利先物である「無担保コール翌日物の加重平均レート(TONA)先物」は、5月末に大阪取引所に上場したばかり。その出来高(全限月)は、上場直後の6月の1日当たり平均は1464枚だったが、先週は1日2966枚と倍増した(1枚は約2500万円)。

転機となったのは、読売新聞が今月9日に伝えた日銀の植田和男総裁のインタビューだ。

記事が出た翌営業日の11日には、TONA先物12月限が100円を下回った。これについて、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「市場が来年初めのマイナス金利解除をある程度織り込んでいると解釈できる」と指摘する。

足元で特に取引が活発化している12月限は、現在99.97円で取引されている。これは12月20日からの3カ月間の無担保コール翌日物での運用利回りが0.03%とプラス利回りになることを織り込んでいる。

これに対し、9月限は100.0425円で取引されており、本日(9月20日)から3カ月間の無担保コール翌日物での運用利回りはマイナス0.0425%との織り込みだ。

鶴田氏は、政策金利予想の計算について、米国には「Fedウオッチ」があるが、ゼロ金利が続いてきた日本には適当なものがないと指摘。「短期金利先物の出来高が一段と高まり、市場参加者の予想が適切に反映される市場ができることは、価格発見機能の観点からも幅広い金融市場にとって有益だ」と今後の流動性向上に期待感を示す。

日本取引所グループ(JPX)のデータによると、今のところ取引主体は9割が海外投資家で、銀行などの国内勢はまだ様子見のところが多い。

大阪取引所の担当者は「直近では日銀から政策の変更を匂わせるような発信があり、値動きや出来高から、TONA先物が将来の金利変動に対するリスクヘッジのために利用されていることが窺える。まずは海外で投資家層の裾野は広がりつつあるが、今後は国内にも広がると期待している」と話す。既に営業チームには質問も寄せられており、国内投資家からも関心はあるという。

鶴田氏は、2006年3月の量的緩和解除を受けて先行きの利上げを巡る思惑が強まり、かつて短期金利先物の取引の中心だったユーロ円金利先物の出来高が急増した例を引き合いに出し、「植田総裁のインタビューでマイナス金利解除の思惑が高まったことは、TONA先物の建玉や値動きに表れている。政策金利が実際に動くとなれば、今後さらに取引が増えるだろう」と予想する。

(植竹知子 編集:石田仁志)

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