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アングル:インフレ3桁、純外貨準備マイナス アルゼンチン次期大統領の課題

ロイター / 2023年11月20日 17時39分

 19日投開票のアルゼンチン大統領選決選投票は、右派のリバタリアン(自由至上主義者)、ハビエル・ミレイ下院議員が勝利した。ブエノスアイレスで19日撮影(2023年 ロイター/Cristina Sille)

Hernan Nessi Eliana Raszewski

[ブエノスアイレス 20日 ロイター] - 19日投開票のアルゼンチン大統領選決選投票は、右派のリバタリアン(自由至上主義者)、ハビエル・ミレイ下院議員が勝利した。ミレイ氏は今後、経済危機への対応を迫られる。

同国のインフレ率は143%。純外貨準備は大幅なマイナス。預金者はペソを投げ売りし、景気後退が迫っている。国民の10人に4人は貧困状態にあり、急激なペソ安が進む可能性が高い。

中央銀行の廃止と経済のドル化を公約に掲げるミレイ氏は来月10日の就任後、経済の再建という重い課題に直面する。失敗すれば、10回目の国債デフォルト(債務不履行)、貧困の増大、社会不安につながりかねない。

<インフレ>

アルゼンチンは高インフレで毎週のように物価が変動し、市場と消費に大きなゆがみが生じている。中銀のアナリスト調査では年末のインフレ率の予想は185%だ。

コンサルティング会社EcoGoのエコノミスト、ルシオ・ガライ・メンデス氏は「次期政権の最大の課題の一つは、相対価格のゆがみの是正になるだろう」と指摘した。

中銀はインフレ抑制のため、政策金利を133%に引き上げており、与信や経済成長に悪影響が出ている。

<ペソの管理>

通貨ペソは2019年の市場の混乱以降、資本規制で厳しく管理されているが、「ブルーレート」「MEPレート」「優良スワップレート」など複数の非公式レートが存在し、公定レート(1ドル=350ペソ付近)の2倍以上の高値でドルが取引されている。

ミレイ氏は資本規制を速やかに解除し、最終的には経済をドル化する意向を示しているが、短期的には公定レートと非公式レートを差を縮めるため、急激なペソの切り下げが行われる可能性が高い。

<外貨準備>

中銀の外貨準備は2006年以来の低水準付近で推移している。大規模な干ばつで大豆、トウモロコシ、小麦など主要農産物の輸出が打撃を受けており、アナリストの間では純外貨準備はマイナスとの見方が多い。

外貨準備の減少は、主要債権者である国際通貨基金(IMF)や民間の債券保有者への返済能力低下につながるほか、輸入代金の支払いにも支障が出かねない。440億ドル規模のIMFプログラムの見直しが必要になるとみられる。

<景気後退>

中銀の最新のアナリスト調査によると、今年の経済成長予測はマイナス2%。干ばつの影響でトウモロコシと大豆の生産が半減したことなどが響くとみられる。

インフレ率も3桁で、今後、貧困が増大する可能性が高い。国民の5人に2人はすでに貧困ライン以下で生活しており、給与や貯蓄が目減りしている。

<かすかな希望も>

アルゼンチンは穀物、シェールガス、リチウムといった資源に恵まれいる。降雨で収穫が拡大したり、新たなガスパイプラインの導入で割高な輸入品への依存が減った場合、また電気自動車(EV)に必要なリチウムの需要が拡大すれば、来年、景気が上向く可能性がある。

大豆やトウモロコシは、大幅な収穫拡大が見込まれており、同国が切実に必要とする外貨収入をもたらすとみられている。

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