社債発行前の企業によるヘッジ、最近の米国債の売り加速させた可能性
ロイター / 2025年1月20日 15時15分
1月20日 ここ数週間の米国債市場の売りについて、銀行関係者やアナリストは今月の社債市場で予定されている約1900億ドルの資金調達計画によって悪化した可能性が高いと指摘する。写真は米ドル紙幣。2022年7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
Shankar Ramakrishnan Davide Barbuscia
[17日 ロイター] - ここ数週間の米国債市場の売りについて、銀行関係者やアナリストは今月の社債市場で予定されている約1900億ドルの資金調達計画によって悪化した可能性が高いと指摘する。
多くの企業が社債発行に先立ち金利上昇リスクに備えて「プリイシュー・ヘッジ」を実施したことで、社債市場から国債市場への影響が生じたという。
これらのヘッジは本質的に米国債に対する空売りであり、企業が社債を発行するまでに利回りが上昇した場合、ヘッジで利益が得られる。一方、利回りが低下した場合、企業はヘッジで損失を被る可能性がある。
9月以降、28兆ドル規模の国債市場では利回りが上昇し続けている。市場が今後の経済成長やインフレ、国債供給、トランプ米次期大統領の政策が及ぼす影響などを織り込んだためだ。
アドバイザリー会社チャタム・ファイナンシャルのマネージングパートナーであるアモール・ダルガルカー氏は「ここ数週間、将来の社債発行をヘッジする動きが顕著だった」と指摘する。
1月の最初の16日間で1270億ドル相当の新規社債が発行された。インフォーマ・グローバル・マーケッツのデータによると、今月の残りの期間で平均630億ドルがプライシングされる予定。
シンドケート銀行は今年約1兆6500億ドルの新規投資適格債券を見込んでおり、過去2番目に高い水準となる見通し。
社債発行前のヘッジは通常、国債市場が不安定な時期に頻繁に利用される。トランプ氏の政策の先行き不透明感を踏まえると、今年は企業によるヘッジ活用が顕著になると多くの市場関係者は予想する。
発行前のヘッジは企業とその銀行との間の取引として行われ、通常は後で開示されるためその詳細を知ることはできない。ただ、市場関係者やアナリストは、ここ数週間ヘッジが市場の大きな要因になったと指摘する。
ベンチマークとなる10年債利回りは12月17日に4.38%だったが、1月13日には4.8%まで上昇した。社債発行前のヘッジ活動も利回り上昇の一因となった可能性がある。
BMOキャピタル・マーケッツのストラテジストは今週のメモで、「発行体が引き続きディールを市場に投入し、ヘッジのニーズが新たな動きと取引の方向性をもたらしているため、企業のディールの流れが話題になっている」と説明した。
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