モーリシャス座礁船、通常航路を逸脱 現場から100キロの地点で
ロイター / 2020年8月21日 19時9分
8月21日、インド洋モーリシャス沖で座礁した日本の貨物船「わかしお」について、座礁地点から100キロ超離れたところから通常の航路を外れ始めたことが、船舶の情報を提供するウインドワードのデータから明らかになった。写真は亀裂が広がり2つに分断された船体。8月21日、モーリシャス沖合で撮影(2020年 MOBILISATION NATIONALE WAKASHIO )
Aaron Sheldrick
[東京 21日 ロイター] - インド洋モーリシャス沖で座礁した日本の貨物船「わかしお」について、座礁地点から100キロ超離れたところから通常の航路を外れ始めたことが、船舶の情報を提供するウインドワードのデータから明らかになった。
わかしおはシンガポールを経由し、中国からブラジルに向かっていた。ウインドワードのデータと海運業界関係者への取材によると、わかしおはモーリシャスの近くを通る船の多くが使う航路を航行していたが、島から55カイリ(102キロ)離れた地点で航路を外れたとみられ、まっすぐモーリシャスに向かって進んだ。
データは、わかしおが座礁するまでの数時間の航跡を記録。モーリシャスの領海に入った後に小さく旋回した形跡もある。「非常に良くない軌道をたどっていた」と、ウィンワードのマーケティング責任者、オメル・プリモール氏は言う。
わかしおがなぜ通常の航路を外れたのかは不明。ここ最近の航跡データを見る限り、モーリシャスの近くを航行する他の貨物船は通常の航路を通過している。
モーリシャスの警察当局は18日、安全な航行を怠った疑いで、船長と副船長の2人を逮捕。取り調べを進めている。
モーリシャス当局者はロイターに対し、沿岸警備隊がわかしおに警告しようと何度も呼びかけたが、応答がなかったことを明らかにしている。[nL4N2FL10Z]
船主の長鋪汽船は航路に関するロイターの取材に対し、警察が捜査中のためコメントできないとした。航行データは警察に提出したという。沿岸警備隊が呼びかけていたことについてはコメントを控えた。チャーターした立場の商船三井は、航路については調査中と回答。それ以上のコメントは避けた。
この地域の海事当局者によると、自動船舶識別装置(AIS)のデータからは、わかしおがモーリシャス領海内で旋回した様子は確認できなかったという。AISデータの不正確さが原因かもしれないとしている。
モーリシャス政府と海事当局から、航跡データについてのコメントは得られていない。
(Aaron Sheldrick 取材協力:大林優香、Giulia Paravicini 日本語記事編集:久保信博、田中志保 グラフィックス作成:照井裕子)
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