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岸田首相、資産運用業の強化表明 参入促進で年内に政策プラン

ロイター / 2023年9月22日 3時26分

岸田文雄首相は21日(日本時間22日)、国連総会出席のため訪れている米国で講演し、日本の資産運用業を強化するため、国内外からの新規参入を促進する方針を示した。20日撮影(2023年 ロイター/Bing Guan)

Ritsuko Shimizu

[21日 ロイター] - 岸田文雄首相は21日(日本時間22日)、国連総会出席のため訪れている米国で講演し、日本の資産運用業を強化するため、国内外からの新規参入を促進する方針を示した。参入障壁の是正や規制緩和など政策の実施計画を年内に打ち出す。個人の金融資産所得を増やし、成長と分配の好循環を目指す政策の一環と位置付ける。

さらに、海外からの参入促進を念頭に資産運用特区を創設し、英語だけで行政対応を完結させるため規制改革を進めるほか、日米を基軸にした資産運用フォーラムを立ち上げる構想も明らかにした。

岸田首相は「日本の取り組みが遅れていると指摘されていた構造改革も断行していく」と述べ、NISA(少額投資非課税制度)の抜本拡充・恒久化に続き「今後、増加する投資ファンドを運用することになる資産運用業とアセットオーナーの改革を行っていく」とした。

具体的には「日本独自のビジネス慣行や参入障壁を是正し、新規参入者への支援プログラムを整備する。あわせて、バックオフィス業務のアウトソーシングを可能とする規制緩和を実施する」と述べた。

金融庁は、金融行政方針において、資産運用立国に向けた具体的な政策プランを年内に策定するとしており、こうした具体策が盛り込まれる見通し。

政府はこれまで、NISAの拡充やコーポレートガバナンス改革を実施。今回はそれに次ぐ取り組みとなる。

投資家の投資対象となる企業が中長期的な価値向上によって利益を拡大し、それに伴う配当や賃金の上昇が最終的に家計にまで還元されるという「インベストメントチェーン(投資の連鎖)」には、資産運用業の強化が必要と判断した。

金融庁が4月に公表した「資産運用業高度化プログレスレポート」では、金融機関グループ傘下の資産運用会社が多いことや人材難、情報開示の不足、業界慣行による非効率性などが問題点として指摘されていた。

参入障壁としては、資産運用会社と信託銀行がそれぞれ投資信託の基準価格を計算し、毎日照合するという独自の慣行(二重計算)や資産運用会社が販売会社と日々の投資信託の情報をやりとりする「公販ネットワーク」の互換性の欠如などが挙げられている。

今回打ち出す新規参入者への支援プログラムとしては、米国やフランス、シンガポールなどで導入されているEMP(Emerging Manager Program)を念頭に置いている。具体的な制度の検討はこれからになるが、海外では、年金基金や政府系ファンドが一定程度新興業者を採用しているという。

日本の資産運用会社の運用する資金は833兆円で、2020年の572兆円から1.5倍に拡大している。ただ、日本の家計金融資産2115兆円のうち現金・預貯金が1117億円を占めており、資産運用業の高度化や新規参入促進によりさらに伸長の余地があるとみている。

岸田首相は、現状を「歴史の転換点」と位置付け、物価を上回る賃上げの実現や名目GDP成長率の年率11.4%成長(2023年4-6月期)などを挙げ「日本のこの1年の経済指標は30年前以来のパフォーマンスを示している」と指摘。今秋には「構造的な賃上げ」と「持続可能性強化のための官民投資」の2点に重点化した経済対策にコミットすると述べた。

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