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アングル:中国の不動産対策、大都市で効果も地方の不振続く L字型回復か

ロイター / 2024年6月21日 12時15分

 6月18日、中国が先月発表した一連の不動産対策は、大都市で効果が出ているものの、中小都市は依然として販売不振にあえいでいるようだ。写真は河北省タク州市の住宅前に残されたがれき。2021年撮影(2024年 ロイター/Lusha Zhang)

Liangping Gao Marius Zaharia

[北京/香港 18日 ロイター] - 中国が先月発表した一連の不動産対策は、大都市で効果が出ているものの、中小都市は依然として販売不振にあえいでいるようだ。アナリストは一部の地域を除けば、さらなる不動産不況が待ち構えていると指摘している。

中国人民銀行(中央銀行)は5月17日、住宅ローン金利の下限と最低頭金比率の引き下げを発表。中央政府も地方政府に対し売れ残り住宅を買い取り公営住宅に転換するよう指示した。その後、多数の都市が住宅ローン規制の緩和を発表している。

住宅売買の少数のサンプルデータや全国の不動産代理店10社への聞き取り調査によると、今回の一連の対策は北京市や上海市などの大都市で需要喚起につながっているが、中小都市では効果が見られない。

5月の新築住宅価格は約9年半ぶりの大幅な下落を記録。大都市に比べてはるかに余剰供給が多い中小都市で特に、不動産不況が続くのではないかとの懸念が強まっている。

ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、張智威氏は「大都市は需要と供給のバランスが比較的取れているため、政策の効果が出ている」と指摘。一方で「中小都市の多くは構造的な過剰供給という問題を長期にわたって抱えており、解決は難しく、時間がかかるだろう」と述べた。

アナリストは、政府が中小都市に資金を振り向け、住宅在庫の削減と市場の安定化を図るべきだと主張しているが、政府が放漫経営のデベロッパーの救済に慎重なため、大規模な対策ではなく段階的な支援策が講じられるとの見方が多い。

民間不動産調査会社、中国指数研究院のデータによると、5月18日─6月5日の中古住宅売買件数(1日平均)は、上海市が4月平均との比較で27.7%増、北京市は8.10%増だった。

新築住宅の売買件数はそれぞれ0.2%減、6.4%減。不動産代理店によると、北京市と上海市では、新築物件より立地が良好な中古物件の売れ行きが良いケースが多い。

上海では5月27日に頭金規制が緩和されたが、地元のある不動産代理店によると、その後の物件への問い合わせは3倍に膨らみ、売買件数も1日当たり700─900件と、以前の500件を上回っている。別の代理店でも内覧件数が60%増加した。

北京の不動産代理店も、内覧が「大幅に」増えたとし「基本的には代理店はどこも予約でいっぱいだ」と述べた。

<何かが壊れている>

中国指数研究院は、中小都市のデータを公表していないが、6月8─10日の売買件数は大都市を含む30都市で前年同期比16%減少しており、中小都市で販売不振が続いている可能性が高い。デベロッパーの資金不足で建設が途中でストップするのではないかとの不安が根強いとみられる。

調査会社ギャブカル・ドラゴノミクスの中国リサーチ担当副ディレクター、クリストファー・ベドー氏は「中小都市は住宅購入意欲を高めるさまざまな取り組みを進めているが、全くうまくいっていない」と指摘。「何かが壊れている。その何かとはデベロッパーだと思う。デベロッパーが販売済みの住宅をきちんと引き渡すという確信が得られなければ、不動産市場の好転はない」と述べた。

同氏は、不動産市場が今後も長期にわたって中小都市の経済の足を引っ張ると予想。不動産融資の多い中小の地方銀行や消費が圧迫されるとの見方を示している。

<中小都市の現状>

中小都市は大都市以上に住宅ローン金利と最低頭金比率を引き下げている。だが、不動産代理店によると、最も積極的な対策を導入している中小都市でも、これまでのところ需要は回復していない。

山東省の膠州市(人口100万人弱)は、最低頭金比率を新たに15%に設定したが、一部の住宅購入者に対しては頭金を最長2年以内に7.5%ずつ2回に分けて支払うことを認めた。貯蓄が不足している購入者の需要を喚起することが狙いだ。上海市と北京市の最低頭金比率はそれぞれ20%、30%。

だが、膠州市の不動産代理店によると、対策の効果は感じられず、「仕事量は以前とほぼ同じで、問い合わせは増えたかもしれないが、実際に内覧を予約する人は多くない」という。

湖南省の長沙市(人口1000万人)は、潜在的な購入者の背中を押すため、デベロッパーに対し最終契約を結ぶ前に購入者の気が変わった場合、手付金を無条件で返金するよう指示した。

だが、地元の不動産代理店は「最近は住宅の購入希望者がほとんどいない。新たな対策が講じられているのは市場の状態が良くないからだと顧客は考えている」と指摘する。

ゴールドマン・サックスのアナリストは、今後数カ月で追加の対策がさらに打ち出されると予想した上で「中小都市の不動産市場や民間デベロッパーの不振が続いていることを踏まえると、今後数年は(底を打っても底這い状態が続く)L字型回復にしかつながらない可能性がある」と述べた。

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