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トランプ関税が市場直撃、トリプル高から一転 株と為替が乱高下

ロイター / 2025年1月21日 12時19分

 1月21日、東京市場は、株高・円高・債券高(金利は低下)の「トリプル高」でスタートした。写真は2020年10月、東京証券取引所で撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Tomo Uetake

[東京 21日 ロイター] - 「トランプ関税」が東京市場を直撃している。21日朝方はトランプ米大統領が就任初日に新たな関税の導入を見送るとの観測が安心材料となり、株高・円高・債券高(金利は低下)の「トリプル高」でスタート。だがその後にメキシコ・カナダへの関税を検討と伝わると、株高と円高の流れが反転して神経質な相場展開となった。日経平均株価は一時、日中高値から600円近く下落する場面もあった。

共和党のトランプ氏は20日(日本時間21日未明)、米国の第47代大統領に就任。米金融市場はこの日、キング牧師生誕記念日のため休場で、就任早々の新たな関税発動などがあった場合は東京市場が最初に反応するマーケットとなり、投資家の注目が集まった。

当局者によると、新大統領は国境警備と移民問題に焦点を当てたものなど一連の大統領令に直ちに署名する。市場が最も警戒していた関税については包括的な通商に関する覚書に署名するにとどめ、初日の新たな関税導入は見送るという。

これが安心材料となり、きょうの東京市場は株式・円・債券のトリプル高で始まったが、午前9時50分ごろ、2月1日からメキシコとカナダに25%の関税実施を検討しているとのトランプ大統領の発言が伝わると、円高と株高の流れが一転した。

このうち日経平均株価は、寄り付き直後に前日比300円超高の3万9200円台と1週間半ぶり高水準をつけたが、トランプ氏の関税発言が伝わると同200円超安の3万8600円台に水準を切り下げ、神経質な値動きとなった。直後に大きく動いた後は落ち着きを取り戻し、日経平均は0.1%高、TOPIXは同0.1%安と横ばい圏で前場の取引を終えた。関税見送り観測を背景に高寄りしたトヨタ自動車やアイシンなど自動車・自動車部品セクターの失速が目立つ。

外資系証券のストラテジストは「市場の静けさは長続きしなかった。メキシコとカナダへの関税のニュースは、関税の導入が遅れているだけで決して回避されたわけではないことを市場に再確認させた。ただ中国に対する関税の発表がないことは、週末に電話会談が行われたところで交渉の余地があるとの期待感も抱かせる」と指摘した。

外為市場ではドル円は1カ月ぶり低水準の154円90銭とドル安円高に振れたが、メキシコ・カナダへの関税検討との発言を受けドル高に転じ、156円24銭まで一気に上昇。その後は再び155円近辺まで値を戻しているが、日中値幅は1円34銭と乱高下の様相を呈した。

国債先物中心限月3月限は引き続き堅調。米インフレ懸念が一旦後退したとしてアジア時間の取引で米10年国債利回りが2週間半ぶりに4.5%台半ばまで大幅低下していることが追い風となった。長期金利の指標となる新発10年国債利回りも米金利の動きに追随して1.18%に低下している。

日銀は今週23─24日に政策決定会合を開催し、市場ではトランプ大統領就任を受けた金融市場の混乱がないとの条件付きで25ベーシスポイント(bp)の利上げ実施がメインシナリオとなっている。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「日経平均が1500円安というような急落がない限りは日銀は利上げに動くと見ており、今のところそのシナリオは崩れていない」との見方を示した。

トランプ大統領は就任初日から膨大な大統領令に署名するとみられており、きょうの東京市場は、引き続き関連のニュースヘッドラインをにらみながらの展開が想定される。市場では「アジア時間だけで評価できるかは微妙。具体的なアクションは21日の米市場の動きを見てからがメインとなりそうだ」(大手生保の運用担当者)との声も聞かれた。

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