五輪組織委が通常開催の代替策を検討、延期判断に備え=関係筋
ロイター / 2020年3月22日 18時52分
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で今夏に予定している東京オリンピック・パラリンピックの通常開催が危ぶまれる中、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(五輪組織委)が通常開催できない場合に備えて代替案の策定を進めていることがわかった。写真は3月11日、東京で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)
白木真紀 Ju-min Park
[東京 22日 ロイター] - 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で今夏に予定している東京オリンピック・パラリンピックの通常開催が危ぶまれる中、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(五輪組織委)が通常開催できない場合に備えて代替案の策定を進めていることがわかった。組織委内の議論に詳しい関係者2人が明らかにした。
開催に最終的な決定権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は現時点では通常開催する方針を変えてはいないが、米紙とのインタビューで、開催延期を判断するのは時期尚早とした上で「もちろん異なるシナリオも検討している」と述べている。IOCでは通常開催について、3月下旬にあらためて議論する見通しだ。
ロイターの取材によると、組織委では3月に入って、通常開催できない場合に備えた代替案の検討に着手。同関係者の1人はロイターに対し「(組織委で)延期する場合のシミュレーション、費用の試算がすでに始まっている」とし、別の関係者は「1年か2年の延期について水面下で話し合っている」と語った。組織委では延期の期間だけでなく、大会の規模縮小や無観客での開催など、実施方法についても選択肢を検討しているという。
東京五輪をめぐっては、安倍晋三首相が16日の主要7カ国首脳とのテレビ電話会議で「完全な形」での開催を目指す方針を表明。菅義偉官房長官は18日の衆議院内閣委員会で「延期とかそういう調整は全く行っていない」と述べ、予定通りの開催に向け準備を進める考えを改めて示した。
ただ、世界各国が新型コロナの猛威にさらされる中、すでに多くの世界的なスポーツイベントが延期や中止を余儀なくされている。トップアスリートらやノルウェー・オリンピック委員会、米国水泳連盟など海外のスポーツ団体なども選手の健康が危ぶまれるとしてIOCに東京五輪の延期を要請している。
日本オリンピック委員会(JOC)理事の山口香氏(ソウル五輪女子柔道銅メダリスト)は先週、五輪に参加する選手が新型コロナ問題で十分に練習できていないことなどを理由に、開催を延期すべきであると発言。組織委の上級メンバー2人も「延期の決定が遅くなればなるほど、より多くの準備が必要になり、あらゆるキャンセル料がかさむ」として、延期の決定を急ぐべきとの考えを示した。
しかし、開催延期となれば、放映権契約の見直しが必要になるほか、参加選手の選考について公平性をどう確保するのか、などさまざまな課題も生じる。すでに来夏には水泳や陸上などの世界大会開催も計画されている。東京五輪はもとより、2024年パリ五輪のスポンサー企業のマーケティング活動にも影響が及びかねない。
東京五輪の国内スポンサー企業の契約総額は、パラリンピックも含め過去最高額の30億ドル(3300億円)超となっており、開催準備のための予算は120億ドル(1兆3500億円)余りに上る。通常開催の変更により、こうした巨額の契約や予算が変更を迫られる懸念がある。
トヨタ自動車<7203.T>やパナソニック<6752.T>など東京五輪スポンサー企業も対応に苦慮している。スポンサー企業の1社である日本航空<9201.T>の社員によれば、最近参加した社内の電話会議で「東京五輪が予定通りに開催されない可能性が80%ある」との指摘があったという。ただ、日航の広報担当者は「予定通りの開催に備えて準備している」とコメントしている。
(取材協力:新田祐貴、安藤律子、山崎牧子、田実直美、竹本能文、木原麗花、宮崎亜巳、David Dolan, Tim Kelly, Kane Wu, Ran Chang-Kim and Antoni Slodkowski)
この記事に関連するニュース
-
バレーを愛した荒木田裕子さん死去前に「パリ五輪みんなで真鍋ジャパンを応援してください」
スポーツ報知 / 2024年9月19日 5時30分
-
荒木田裕子さんが70歳で死去…モントリオール五輪バレーボール女子「金」、JOC理事など歴任
読売新聞 / 2024年9月18日 21時47分
-
五輪の最高位スポンサー、トヨタに次いでパナソニックHDも契約終了へ[新聞ウォッチ]
レスポンス / 2024年9月11日 8時56分
-
パナ、五輪スポンサー終了 12月末、IOCと契約更新せず
共同通信 / 2024年9月10日 11時52分
-
トライアスロンが汚い場所にこだわる「意外な理由」…東京大会、パリ大会も体調不良者続出
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月4日 9時26分
ランキング
-
1戦闘機開発の英国撤退に警鐘 防衛戦略に打撃、信頼失墜と
共同通信 / 2024年9月20日 10時54分
-
2中国、日本人校周辺に監視カメラ 児童刺殺、警備強化アピール
共同通信 / 2024年9月20日 9時56分
-
3中国の男児刺殺「数年前から、いつ起きてもおかしくない状況」
読売新聞 / 2024年9月20日 13時20分
-
4日本人男児刺殺〝反日〟中国に毅然対応せよ! 6月の襲撃に続く「第2の凶行」防げなかった重大責任「『遺憾』ではおかしい」
zakzak by夕刊フジ / 2024年9月20日 11時48分
-
5口の中で困惑する姿が...ザトウクジラが「丸呑み」したまさかの生物とは? 二度と撮れない「大ピンチ」の瞬間が話題に
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月20日 12時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください