EU交渉官、対英交渉は「最後のひと押し」 漁業権でなお相違
ロイター / 2020年12月23日 5時31分
欧州連合(EU)が英国と続けている自由貿易協定(FTA)などの協議について、バルニエ首席交渉官(左)は22日、交渉は重要な局面に入っており、EUは「最後のひと押し」を行っていると述べた。代表撮影(2020年 ロイター)
[ブリュッセル/ロンドン 22日 ロイター] - 欧州連合(EU)が英国と続けている自由貿易協定(FTA)などの協議について、バルニエ首席交渉官は22日、交渉は重要な局面に入っており、EUは「最後のひと押し」を行っていると述べた。
EUを離脱した英国が加盟国とほぼ同等に扱われる「移行期間」は31日に終了。漁業問題では合意に近づいているものの、その他の政治的に微妙な案件では見解の相違は埋められていない。
バルニエ氏は「重要な局面に差し掛かっている。われわれは最後のひと押しを行っている」と述べた。
アイルランドのマーティン首相は、交渉官らが合意に至る可能性が高いと信じているとしたが、交渉が25日を超えて行われる可能性があるとも述べた。
匿名のEU外交官によると、バルニエ氏は非公開の会議で、来年以降の英海域の漁業枠を巡る新たな英提案について、「全く受け入れられない」と述べたという。ブリュッセルのある外交官は、「バルニエ氏は英仏の間で綱渡りをしている」と指摘。フランス北部の漁業従事者の規模は小さいが、政治的に重要とされる。
ジョンソン英首相はEU離脱に当たり、自国海域の管理を強調している。EU側は、英国が同海域での漁獲量30─35%削減を要求しているのに対し、EUは約25%減なら受け入れるとしている。また、英側は自国海域でのEU側の操業を今後3年間で漸次減らしたい考えだが、EUは6年を提案している。
別の外交官は「EUは英国に門戸を閉ざすつもりはなく、1月1日を過ぎても交渉する用意はある」と述べた。
これに先立ち、EU外交官は合意は間近との見方を表明。「難局を越えられたもようだ」と述べていた。
移行期間の終了が迫る中、欧州委員会のフォンデアライエン委員長と英国のジョンソン首相は21日、電話会談を実施。離脱問題のほか、新型コロナウイルス感染拡大などについて話し合った。EU関係筋はさらに会談が必要との見方を示している。
英政府高官はこの日、移行期間延長の可能性を否定。関係筋は、合意は週内か来週に得られる可能性があるが、全く合意がないまま移行期間が終了する恐れもあると語った。
英紙サンはこの日、英当局者の話として、双方がクリスマスイブ前の妥結を望んでいるが、協議はなお膠着していると報じた。
*内容を追加しました。
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