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アングル:中国で増える「就職詐欺」、若者の5人に1人が仕事なく

ロイター / 2024年8月22日 15時7分

 中国で就職先を探していた19歳の知的障害がある息子が詐欺被害にあったと母親がテレビで訴え、卑劣な犯罪に対する怒りの声が広がっている。北京で2016年撮影(2024年 ロイター/Damir Sagolj)

Ethan Wang Ryan Woo

[北京 16日 ロイター] - 中国で就職先を探していた19歳の知的障害がある息子が詐欺被害にあったと母親がテレビで訴え、卑劣な犯罪に対する怒りの声が広がっている。

母親の証言によると、この男性は湖北省武漢市の美容クリニックの求人に応募したところ、クリニック側から豊胸手術を受ければライブ配信を通じたフォロワーの獲得でお金をもうけられると持ちかけられ、手術費用として3万元(4180ドル)の借金まで背負わされた。

短文投稿サイト微博(ウェイボ)では、この話を紹介した投稿に2600件余りのコメントが寄せられ、閲覧数は2700万件を超えた。「金のためには人間性を放棄できるのだ」「けだものよりもひどい」といった声が聞かれた。

結局、テレビ局や弁護士の支援を得て、母親は何とか借金を取り消したが、息子は既に手術を受けてしまった。インプラントを除去するため2回目の手術が必要になったので、息子の精神的ショックはさらに大きくなったと嘆く母親は「彼の胸に残った2つの傷を見るのがつらい」と話す。

中国経済の悪化に伴い、こうした実在しない求人や偽の広告、知らないうちにローン契約をさせられるなどの詐欺が増え続けている。検察当局は昨年、犯罪集団が学生や大学新卒者をターゲットとするケースが多くなったと明らかにした。

貿易戦争からコロナ禍の尾を引く影響、長期的な不動産不況まで次々と危機に見舞われる中国で、この夏の新卒者は1179万人と過去最高を記録。若者が就職できない事態は、繰り返し国民に指令への服従を求めている中国共産党にとっても、経済運営の指導力が問われかねない。

そのため習近平国家主席も今年、雇用情勢の先行きに懸念を表明するとともに、若者向けの雇用確保を最優先課題に掲げている。

<犯罪加担も>

昨年6月の若者の失業率は過去最悪の21.3%に達した。当局がその後このデータの公表を差し控える事態になり、現在16歳から24歳までの求職者の総数を把握する方法は存在しない。

ただ中国国家統計局は昨年、これらの世代のうち3300万人が職探しをしていると明かした。

同局の広報担当者は15日、中国全体の7月の失業率が4カ月ぶりの高水準に上昇したことを受けて「雇用にかかる重圧はなお存在する。主要グループは(職探しで)引き続きプレッシャーに直面している」と認めた。

先月には若者を狙った別の詐欺事件も発覚している。食事の宅配サービスでパートタイムの仕事を探していたある大学生が、電動自転車レンタルの1年契約を仕向けられたのだ。

中国フードデリバリー大手「美団」の採用担当者を装った電動自転車レンタル業者の従業員はこの大学生に、仕事を始めるには電動自転車のレンタルが必要だと説明。数カ月後に大学生は、自分の稼ぎが「採用担当者」の約束した金額よりずっと少なく、毎月のレンタル料金をかろうじて工面できるだけになっていることに気づいた。

微博へのある投稿は「仕事を見つけるだけでも十分難しいのに、詐欺にも注意しなければならない」と嘆いている。

当局によると、就職できる見込みが薄れることで、自分が詐欺の片棒をかつぐ側に回る学生も出てきている。

検察当局が昨年11月に公表したデータでは、1―10月に電話とインターネットを利用した詐欺で起訴された18歳未満の若者は前年同期比で68%も増加した。学力レベルの高い大学の卒業者が詐欺グループに加わる例も増えているという。

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