米司法省、中国人2人起訴 サイバー攻撃でコロナ研究情報など窃取
ロイター / 2020年7月22日 11時1分
米司法省は21日、新型コロナウイルスに関する研究データや軍事機密などをサイバー攻撃により盗んだとして、中国人2人を起訴した。写真はイメージ。2018年3月撮影(2020年 ロイター/DADO RUVIC)
[ワシントン 21日 ロイター] - 米司法省は21日、新型コロナウイルスに関する研究データや軍事機密などをサイバー攻撃により盗んだとして、中国人2人を起訴したことを明らかにした。
当局によると、李ショウ宇(34)、董家志(33)両容疑者は、10年以上前から現在に至るまで米国や日本などの企業や機関にサイバー攻撃を仕掛け、武器デザインや医薬品、ソフトウェアのソースコードなどの情報を盗んだ罪に問われている。中国政府に批判的な個人の情報も盗んだとされる。
両容疑者とも中国国家安全部(MSS)との契約の下で行動し、サイバー攻撃に必要な情報は国家安全部が提供していたとみられている。
デマーズ米司法次官補(国家安全保障担当)は、中国政府は知的財産権を盗むためにサイバー犯罪者に安全な隠れ場所を提供していたと非難。
「中国はロシアやイラン、北朝鮮と同様、国家の利益のために働くのと引き換えにサイバー犯罪者に安全な場所を提供する恥ずべき国に名を連ねた」と述べた。
ワシントンの中国大使館は、ロイターの取材に対し「中国は長年にわたり、サイバー空間での窃盗や攻撃の主要な被害者」となっており、そうした行為に「断固として反対し、対抗する」とした先の中国外務省のコメントに言及した。
被害に遭った企業や個人の名前は、ほとんど明らかにされていない。ウィリアム・ヒスロップ連邦検事は、米国や世界各地に数百の被害者がいると述べた。
当局は、閉鎖されたワシントン州の核施設「ハンフォード・サイト」のネットワークにハッカーが2015年に侵入したことをきっかけに捜査に乗り出したという。
起訴状によると、サイバー攻撃の標的には、香港の抗議活動家やチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマの事務所、中国のキリスト教非営利団体なども含まれた。
また、新型コロナ感染拡大に焦点が当てられ始めていた1月下旬の時点ですでに、容疑者らはマサチューセッツ州のバイオ企業からワクチン研究データを盗もうとしていたという。
実際にデータが盗まれたかどうかは不明だが、専門家は、中国などの政府が新型コロナに関する研究に「極めて高い価値」を見い出している証拠だと指摘。
サイバーセキュリティー会社・ファイヤーアイのシニアアナリスト、ベン・リード氏は「世界各国の政府にとって根本的な脅威であり、治療やワクチンに関する情報は、複数のサイバースパイ支援者の標的になるだろう」と述べた。
*内容を追加しました。
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