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アングル:S&P500の年初来プラス達成、上昇は一部に集中

ロイター / 2020年7月22日 14時42分

7月21日、米S&P総合500種株価指数が年初来でプラス圏に入った。ニューヨーク証券取引所で5月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米S&P総合500種株価指数<.SPX>が年初来でプラス圏に入った。ここ数カ月の急速な上昇の結果、2月21日以来の高値を達成。年初来の上昇率は0.8%。ただ、ハイテク関連の一部が大幅値上がりした半面、他の多くの業種は相場の流れに乗れていない。

ジョーンズ・トレーディングの首席市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は、年初来のS&P500種で値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率が1対1.7であることに注目する。投資家の買いが、新型コロナ危機の景気悪化を巡り先行きが不透明であっても安定的に最も利益を上げられるとにらむ、一握りのハイテク銘柄に集中していることが一因だ。

ゴールドマン・サックスによると、アップル 、マイクロソフト 、アマゾン・ドット・コム 、アルファベット 、フェイスブック の、S&P500種で最も大きな時価総額5社の合計は、指数全体の時価総額の23%前後と過去最高になっている。

パー・スターリングのディレクター、ロバート・フィリップス氏は「こうした銘柄がなければ指数の上昇は想像しがたい。構成銘柄の大半は、実際には相場上昇に加わっていない」と述べた。

S&P500種で5銘柄が属するハイテク関連業種の値動きは今年、他業種を大幅に超えている。アップルとマイクロソフトを含む「情報技術」<.SPLRCT>は年初来上昇率が約18%で、アマゾンを含む「一般消費財」<.SPLRCD>は15%上昇。アルファベットとフェイスブックを含む「通信サービス」<.SPLRCL>の上昇は6%近い。

このほかの業種で年初来騰落率がプラスとなっているのは「ヘルスケア」<.SPXHC>だけだ。

プルデンシャル・ファイナンシャルの首席市場ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は、米株式市場のバリュエーションはインターネットバブル以来の高水準になっているものの、大型ハイテク関連銘柄に逃避的に資金が流入していることは、過度の楽観というよりも警戒感が強いことを映していると指摘した。

クレディ・スイスの首席米株ストラテジストのジョナサン・ゴルブ氏は21日の調査ノートで、S&P500種の現在の時価総額上位5社は、2000年の上位5社と比べて構成企業の利益総額に対する比率が高く、株価収益率(PER)が低いと特徴を分析した。

多くの投資家は大型ハイテク関連企業について、バランスシートが比較的堅固で売上高が安定しており、新型コロナによる景気悪化を切り抜けやすいと考えている。

プルデンシャルのクロスビー氏は「こうした企業はしっかりしている。同じハイテク企業でも、まだ一切利益を出せていないようなハイテク企業に、こんな動きは見られない」という。

クロスビー氏は小型株で構成するラッセル2000指数<.RUT>や、「金融」<.SPSY>や「鉱工業」<.SPLRCI>などの景気循環業種の値動きが低調なことを指摘し、米景気回復に暫定的な見通ししか持てないことが示唆されていると述べた。こうした銘柄は過去2、3カ月で短期的に全体をアウトパフォームしたが、すぐにハイテク関連銘柄がけん引役に返り咲いた。

(April Joyner記者)

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