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情報BOX:米大統領選「第3の候補」が結果左右か、背景に独特の選挙人制度

ロイター / 2024年3月23日 8時7分

米国は民主党と共和党が政権を奪い合う2大政党制だが、今年の大統領選は無所属のロバート・ケネディ・ジュニア氏など「第3の候補」が選挙結果を大きく左右する可能性があることが、政治ストラテジスト数十人への取材で分かってきた。写真は2022年11月、デトロイトの投票所で撮影(2024年 ロイター/Rebecca Cook)

Stephanie Kelly Jarrett Renshaw

[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米国は民主党と共和党が政権を奪い合う2大政党制だが、今年の大統領選は無所属のロバート・ケネディ・ジュニア氏など「第3の候補」が選挙結果を大きく左右する可能性があることが、政治ストラテジスト数十人への取材で分かってきた。背景には有権者が州ごとに選ぶ「選挙人」の投票によって大統領を選出するという米大統領選独特の仕組みがある。

初期段階のシナリオによると、第3の候補は共和党のトランプ前大統領よりも民主党のバイデン大統領から多くの票を奪う公算が大きい。大統領選で勝利するには選挙人538人のうち270票を集める必要があるが、民主、共和どちらにも傾く可能性のある一部のスウィングステート(激戦州)でのわずかな票差が決定打になり得る。

<接戦州への影響>

最重要の激戦州はミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ノースカロライナの各州。バイデン氏は2020年の前回大統領選でこのうちノースカロライナ州を除く全州で勝利したが、得票差は3%よりも小さかった。

無所属のケネディ氏は外国の紛争への介入を制限、安価な住宅の供給、企業の影響力抑制といった政策を掲げ、自らをバイデン、トランプ両氏に代わる「アウトサイダー」の候補と位置づけている。最近のロイター/イプソスの世論調査によると支持率は15%。

選挙人制度では州ごとの一般投票で首位に立った候補がその州の選挙人を「総取(そうど)り」するため、激戦州においてはケネディ氏支持者のほんの一部であっても選挙の結果に重大な影響を及ぼし得る。政治ストラテジストが注目しているのは、19人の選挙人が割り当てられるペンシルベニア州。同州は20年の大統領選でバイデン氏が50%の得票率で勝利したが、トランプ氏の得票率は48.88%で、その差は小さかった。

もしバイデン氏がペンシルベニアで敗れた場合、270票を獲得するためにはジョージア、アリゾナ、ウィスコンシン、ミシガンで全勝しなければならない。バイデン氏がジョージア州でも敗れればトランプ氏の勝利が確定する。

実際に2000年の大統領選では民主党のゴア氏、共和党のジョージ・W・ブッシュ氏に加えて第3党のラルフ・ネーダー氏が出馬。専門家によると、開票が混乱して結果の確定が最後となったフロリダ州でネーダー氏の得票率は3%程度と低かったが、同氏が出馬したためゴア氏とブッシュ氏の得票差が極めて小さくなり、最終的な決着が最高裁にもつれ込み、ブッシュ氏が勝利した。

<トランプ氏の岩盤層>

バイデン氏もトランプ氏も全体的な支持率は低く、多くの世論調査で40%以下にすぎない。ただ専門家によるとトランプ氏は熱狂的な支持者の「岩盤層」を持ち、第3の候補によって大きなダメージを受けることはないとみられる。第3の候補が出馬した場合、トランプ氏が第3の候補から支持者を奪うのは難しい一方、熱心な支持者を失う可能性は低いという。

中道左派のシンクタンク、サード・ウェイのマット・ベネット広報担当副社長はトランプ氏について「おそらく47%といった一定水準以上の得票は見込めないが、大きく票を落とすことはない」と予想した。

一方のバイデン氏は、新たな有権者を獲得する可能性があるものの、岩盤層を持たないため第3の候補に対して脆弱だと専門家は指摘する。

先月のミシガン州予備選では、バイデン氏がパレスチナ自治区ガザでの戦闘でイスラエルの軍事作戦を支持したことに対する怒りが民主党有権者の間で広がり、14%が投票の際に支持者なしを意味する「アンコミッテッド」を選んだ。  

<選挙人270獲得なしも>

もうひとつの疑問は、第3の候補が十分な票を集め、バイデン氏やトランプ氏の当選に必要な選挙人270人の獲得を阻止するかどうかだ。

こうした展開となる可能性は非常に低いが、あり得ないことではないと専門家は指摘する。過去の米大統領選では、1912年にセオドア・ルーズベルト氏が率いる「進歩党」が選挙人88人を獲得し、1968年には人種隔離政策を支持するジョージ・ウォレス氏が第3党から出馬して選挙人46人を獲得している。

政治ストラテジストは今回の大統領選でどの候補も選挙人270人を確保できなかった場合の不測のシナリオを2つ想定している。第3の候補がバイデン氏を破って選挙人票が10票のウィスコンシン州か15票のミシガン州を制し、トランプ氏がアリゾナ、ジョージア、ノースカロライナ、ネバダを制するケースだ。

この場合、バイデン氏とトランプ氏の両候補はいずれも選挙人得票数が270に届かず、共和党が過半数議席を握る下院が全米50州に1票ずつ割り当てて大統領を選出する。そうなれば単純過半数の26州の得票で決着するが、州ごとの勢力は共和党が26州、民主党が22州のため、トランプ氏が選出される見通しだ。

一方、民主党が過半数を握る上院は、最も選挙人票を獲得した副大統領候補の上位2人から副大統領を選出する。もしこのような展開になれば米国史上初めて大統領が共和党、副大統領が民主党という組み合わせが誕生する可能性がある。

一方、激戦州以外は共和党か民主党のどちらかの牙城となっているため、第3の候補が単独で選挙人票270票を獲得するは難しいと見られている。

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