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原油の「需要崩壊」、アナリストの下方修正追いつかず

ロイター / 2020年3月23日 13時8分

[ロンドン 20日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う封鎖政策で原油需要が急減する中、市場関係者による原油需要の下方修正が追いつかない状況となっている。

年初の時点は原油需要の小幅な増加もしくは横ばいが予想されていたが、足元では年初の最も弱気な予想でさえ非現実的になっている。

世界最大の石油商社ビトルのリサーチ部門トップ、ジョバンニ・セリオ氏は「今年の需要崩壊は、どの程度の国がイタリア型の封鎖政策を導入するかに左右される」と指摘。

「他の欧州諸国に加え、特に米国でも同様の政策が導入されると仮定した場合、どこまでも弱気になる」と述べた。

同氏は、封鎖政策が他の欧州諸国にも広がり、米国の対策が比較的限定的なものだった場合、需要が日量1000万バレル以上減少すると予想。これは世界の1日当たりの原油消費量約1億バレルの10%に相当する。

IHSマークイットとスタンダード・チャータード銀行も、4月までに需要が最大で日量1000万バレル減少する可能性があると予測している。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大がいつまで続くのかや、ウイルス対策が経済にどの程度の影響を及ぼすかは不透明で、多くのアナリストは長期の予測に慎重になっている。

ライスタッド・エナジーのアナリスト、ルイーズ・ディクソン氏は「このような原油需要の急減は長い間見たことがない。ジェット燃料、ガソリン、船舶燃料、石油化学、発電用の石油が同時に値崩れを起こしている」と指摘。

わずか2週間前の予測ですら、現状にそぐわなくなってきている。

米エネルギー情報局(EIA)は今月11日、今年の石油需要が日量37万バレル増加すると予想。国際エネルギー機関(IEA)は今月9日、日量9万バレルの減少を予想していた。

だがスタンダード・チャータードは17日のリポートで、今年の平均需要が日量339万バレル減少すると予想。予想通りであれば、1980年の271万バレル減を超えて、バレル換算で過去最大の減少幅となる。

エナジー・アスペクツの石油担当チーフアナリスト、アムリタ・セン氏は「経済成長と石油需要はさらに減少する。(他人との不要の接触を避ける)社会的距離戦略が解除されない限り、回復は見込めない」との見方を示した。

<潤沢な供給>

通常、原油価格が急落すれば需要が盛り返すが、現時点では企業活動が制限されており、需要が刺激される公算は小さい。

セン氏は、需要の減少に加え、シェア拡大を狙うサウジアラビアによる大量の供給を背景に、北海ブレント価格が1バレル=10ドルまで下げる可能性があると予想している。

ジェフリーズのジェイソン・ガメル氏も「(サウジが現在の供給ペースを維持すれば)原油価格の短期的な下限はゼロしかない」と述べた。

ゴールドマン・サックスは18日、今年の世界の需要が日量110万バレル減少するとし、第2・四半期の北海ブレント価格を20ドルと予想した。

バンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチは20ドル割れを予測している。

PVMオイルのアナリスト、タマス・バーガ氏は「現在の価格では、高コスト体質の石油生産業者が深刻な打撃を受ける。多くの企業が破綻するだろう」と指摘。

IHSマークイットのバイスプレジデント、ジム・バークハード氏は「景気後退の中、この状態が続けば、世界の石油需給は、史上最も極端な供給余剰となる可能性がある」と述べた。

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