米大統領選の最終討論会、コロナ対応巡り激しい応酬 初回より落ち着きも
ロイター / 2020年10月23日 14時19分
[ナッシュビル 22日 ロイター] - 11月3日の米大統領選に向けた最後の候補者討論会がテネシー州ナッシュビルで開かれた。現在も感染拡大が続く新型コロナウイルスを巡り、民主党候補のバイデン前副大統領と共和党のトランプ大統領は極めて対照的な見解を示した。
9月の第1回討論会は、トランプ氏がバイデン氏の発言にたびたび割り込み、双方がお互いを罵倒するなど混沌としたが、今回、トランプ氏は落ち着いた議論を展開した。それでも、両候補が互いに個人攻撃する場面も見られ、トランプ氏はバイデン氏とその家族に関する立証されていない汚職疑惑を主張した。
バイデン氏は冒頭、トランプ氏の新型コロナ対応を批判し、「これほど多くの死者を出した責任がある大統領が同職にとどまるべきではない」と訴えた。国内の新型コロナ感染による死者は22万1000人を超えた。
トランプ氏は自身の対応の正当性を主張し、コロナ流行の最悪期は過ぎたとの見方を示した。「私たちはコーナーを回ろうとしている。(コロナは)消えつつある」とした。
トランプ氏が「われわれは(ウイルスと)共に生きることを学んでいる」と述べると、バイデン氏は「共に生きる?人々は亡くなっている」と反論した。
トランプ氏は、「数週間」中にワクチンができる可能性があるとも主張した。米政権当局者を含め大半の専門家は、2021年半ばまでにワクチンが広く使用可能になる可能性は低いとしている。
バイデン氏が、新型コロナ対策でトランプ氏は責任逃れをしていると批判すると、トランプ氏は「全ての責任を取る」と述べた上で、「(ウイルスが)米国に入ってきたのは私の落ち度ではない。中国の責任だ」と主張した。
激戦州のオハイオを含む複数の州では22日、1日当たりの新型コロナウイルス新規感染者数が過去最多を記録、感染が再拡大していることを示した。
新型コロナに関する冒頭の議論に続き、両者は外国勢力との不適切なつながりの疑惑などを巡り応酬を繰り返した。
トランプ氏は、バイデン氏と息子のハンター氏が中国とウクライナで不正行為を行ったとする疑惑を再び訴えた。この疑惑は立証されていない。
バイデン氏は自身の親族の不正を否定し、自らについても外国から「1セントたりとも」受け取ったことはないと言明。トランプ氏は国民の関心をそらそうとしているだけで、「ほら話を持ち出すのには理由があるからだ」と強調した。
バイデン氏は、トランプ氏が20年以上にわたり連邦所得税をほとんど納めていないとしたニューヨ-ク・タイムズ紙の報道に触れ、同氏が納税を回避していると非難。納税記録の開示を求めた。
これに対しトランプ氏は、すでに「数百万ドル」の税金を払ったと主張し、監査が終了すれば納税記録を開示するとの立場を繰り返した。
両候補はこのほか、医療保険や対中政策、人種問題などでも衝突。バイデン氏はトランプ氏を歴史上「最も人種差別的な大統領の1人」と呼び、「ありとあらゆる人種差別の火に油を注ぐ」と非難した。
一方トランプ氏は、1994年にバイデン氏が起草した犯罪法が未成年者の収監増加につながったと指摘。リンカーン元大統領は例外かもしれないが、黒人のためにこれほど貢献した大統領は自分以外にいないと主張した。
<医療保険や気候変動対策でも対立>
バイデン氏は、トランプ氏が最高裁に医療保険制度改革法(オバマケア)の無効化を求めていることを批判。同法の下では既往症のある人の加入を保険会社が拒否できないことに言及し、「国民は手頃な医療を受ける権利がある」と強調した。
トランプ氏は、同様の保護を提供する「もっと優れた」制度を代わりに導入すると反論した。米政権は包括的な医療保険制度に関する提案を依然行っていない。
また、気候変動に関する議論でバイデン氏は、自身の計画では再生可能エネルギーに向けて「石油産業から移行」すると発言。するとトランプ氏は「彼は石油業界を破壊する」と攻撃材料にし、テキサス州やペンシルベニア州の有権者にバイデン氏の発言を忘れるなと訴えた。
世論調査ではバイデン氏が支持率でリードしており、この日の討論会は流れを変えたいトランプ氏にとって残された最後の機会の一つとなった。一部の激戦州は接戦の様相となっており、これらの州が勝敗を左右する可能性が高い。
ただ、これまでに過去最多の4700万人が期日前投票を済ませており、態度を決めていない有権者が比較的少ないため、トランプ氏が流れを変える余地は限られている。
第2回討論会は15日に予定されていたが、トランプ氏が今月初めにコロナに感染したことを受け、討論会の実行委員会はバーチャル形式に変更することを決め、トランプ大統領が参加を拒否していた。
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