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中国の黒鉛輸出規制、代替調達加速へ 対応には時間も

ロイター / 2023年10月23日 18時27分

 10月20日、中国が電気自動車(EV)の主要材料であるグラファイト(黒鉛)の輸出を規制したことについて、業界関係者は代替調達に向けた動きが加速するとみられるが、代わりの調達先の開拓や代替品の開発には時間がかかると指摘している。独ザルツギッターで2022年7月撮影(2023年 ロイター/Fabian Bimmer)

Nick Carey Akash Sriram Ernest Scheyder

[20日 ロイター] - 中国が電気自動車(EV)の主要材料であるグラファイト(黒鉛)の輸出を規制したことについて、業界関係者は代替調達に向けた動きが加速するとみられるが、代わりの調達先の開拓や代替品の開発には時間がかかると指摘している。

中国は世界最大の黒鉛生産国・輸出国。12月1日から自動車メーカー向けの球状化黒鉛など一部の黒鉛製品の輸出を許可制にする。黒鉛は車載電池の負極材に使われるが、中国は精製市場で90%以上のシェアを持つ。

業界関係者は、今回の規制について、世界的な貿易紛争のエスカレートにつながりかねず、代替調達先や代替材料の検討が優先されるのではないかと話している。

黒鉛製品の加工を手がけるグラフェックス・グループのジョン・デマイオ・グラフェン部門社長は「今回の規制により(米国で)黒鉛の供給拡大が急務との声が高まる可能性がある」と発言。

同社は来年末までにミシガン州にグラファイト加工施設を開設し、米国の自動車メーカーに少なくとも年間1万トンを供給する計画だ。現在、豪シラー・リソーシズから黒鉛を調達しているが、他の調達先も模索している。

米欧は中国の牙城に挑むため、人造黒鉛の開発に力を入れているが、業界関係者は厳しい戦いになると予想。貝特瑞新材料集団(BTR)や杉杉など中国の電池材料大手は、人造黒鉛の生産増強に向けて多額の投資を行っている。

オスロに本社を置く人造黒鉛スタートアップ企業ビアノードは来年、ノルウェーで小規模生産を開始する予定。2030年までに欧米でフル稼働体制に入り、EV200万台分の供給を目指す。

同社のハンス・エリック・バットネ最高執行責任者(COO)は、人造黒鉛の開発には多額のコストがかかるが、中国依存からの脱却に必要な代償だと語った。

<代替材料>

黒鉛に代わる負極材の材料がシリコンだ。米スタートアップ企業のGDIは100%シリコンを用いた負極材を開発しており、自社の技術を多くの自動車メーカーに売り込んでいる。

同社のロブ・アンステー社長は「中国は黒鉛で何十年も先を行っており、とても追いつけない」とし「次世代の電池・材料を開発を進める必要がある」と語った

調査会社カナリスのアナリスト、アルビン・リュー氏は「(今回の輸出規制は)黒鉛の希少性を高め、車載電池のコストを引き上げ、EV生産コスト上昇につながる」と予想。

自動車メーカー各社は現時点で事態を静観し、中国政府の決定を精査している。

独BMWは「当社の供給状況に短期的な影響はないと考えているが、この問題を注意深く見守る」とし「必要な場合は、リスク管理で迅速かつ柔軟に対応することが可能だ」との声明を発表した。

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