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5月ロイター企業調査:155円超の円安、5割弱がマイナス影響 値上げなどで対応

ロイター / 2024年5月23日 10時5分

5月のロイター企業調査で、円安が事業に与える影響を聞いたところ、1ドル=155円を超える水準は5割弱の企業がマイナスと答えた。写真は2017年6月撮影(2024年 ロイター/Thomas White)

Ritsuko Shimizu

[東京 23日 ロイター] - 5月のロイター企業調査で、円安が事業に与える影響を聞いたところ、1ドル=155円を超える水準は5割弱の企業がマイナスと答えた。望ましい為替水準は現状と乖離(かいり)した130―149円との回答が半数を超えており、原料などの輸入経費が上昇し、賃上げ圧力と相まってコストアップに直面している様子が伺えた。価格転嫁は十分に進んでおらず、円安への対応としてさらなる製品の値上げや為替ヘッジなどを挙げる企業が多かった。

調査は5月8日─5月17日。調査票発送企業は493社、回答社数は229社だった。

4月下旬から5月上旬の大型連休中に政府・日銀による為替介入観測が広がったものの、ドルはなお155円付近で推移している。円安基調に変化はなく、調査対象の企業からは「海外原料の仕入れ価格に影響」(化学)、「輸入品を取り扱う販売業者にとってメリットがない」(小売り)などマイナス影響を懸念する声が多く聞かれた。水準だけでなく、円の下落ペースが急だったことから「逆に円高に振れた場合の影響が大きい」(精密機械)と、過度な変動へのマグマが溜まっていることへの不安を指摘する声もあった。

一方、円安は輸出型の企業や売り上げの多くがドル建ての企業、インバウンドに関わる企業にはプラスに働く。人件費や土地代などドルベースでは世界的にコスト競争力が高まるため、「世界の工場は日本になるのでは」(輸送用機器)との見方もあった。

自社にとって望ましいドル/円の水準を聞いたところ、140―149円が30%と最も多かった。130―139円が28%で続き、140―149円も合わせると58%と過半を超えた。現行水準の150―159円は8%、それ以上の水準はゼロで、企業の多くは現行水準よりも円高が望ましいと考えていることが分かった。

円安への対応としては「製品の値上げ」が64%と最も多く、為替ヘッジや原材料・部品調達の国内への切り替えなどが続いた。

また、円安対策で政府・日銀に望むことは、政策支援が50%、日銀による追加利上げが37%、為替介入が34%だった。「半導体など輸出産業への技術開発補助金支援策と生産拠点を国内回帰する場合の税制優遇策など」(紙・パルプ)、「日米の金利差の影響が大きいと思われるが円の力を上昇させる経済の底上げ政策を望む」(化学)などの声があった。

一方で「為替介入の効果は一時的で、利上げは国債の利払いに影響があるので、難しいのではないかと思う。有効な策は無いのではないか」(電機)と政府・日銀による対応の限界を指摘する声も出ていた。

(清水律子 グラフィック作成:照井裕子 編集:久保信博)

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